ダッソー、自動車や産業機器業界などに特化したパッケージを提供:ドバイのオフィスもオープン
ダッソーは、従来のPLMの範ちゅうを超え、消費者の情報までカバーできるシステムを業界に特化させた形で提供する。ビジネスを大きく伸ばした中東地域のオフィスも開設した。
ダッソー・システムズ(以下、ダッソー)は2013年3月28日、2013年度の事業戦略や業界特化型パッケージに関する記者説明会を開催した。
同社が「3Dエクスペリエンス」と呼ぶ従来のPLMの概念の範ちゅうを超えて消費者情報まで包括する統合システムを、業界に特化させた形(パッケージ)で提供していく方針だという。
「ネスレやアップルが数ある競合の中で成功した要因は、(消費者を意識したことで作り上げた)ビジネスモデルにある。日本メーカーはこれまでモノづくりそのものにフォーカスしたオペレーションしかしてこなかったが、今後は消費者まで意識したモノづくり(消費者の情報を製品開発に反映し、付加価値を高める)をしていかなければいけない時代」(ダッソー・システムズ 代表取締役社長 鍛治屋清二氏)。
同社は下記のように、顧客の産業を12業界に分類している。
- Aerospace & Defense(航空宇宙・防衛産業)
- Transportation & Mobility(自動車・輸送機械業界)
- Natural Resources(天然資源産業)
- Marine & Offshore(船舶・海洋業界)
- Life Sciences(医療機器・医薬品業界)
- Industrial Equipment(産業機械業界)
- High Tech(ハイテク業界)
- Financial & Business Services(金融・ビジネスサービス業界)
- Energy, Process & Utilities(エネルギー・プロセス産業)
- Consumer Packaged Goods & Retail(パッケージ製品・小売業)
- Consumer Goods & Retail(消費財・小売業)
- Architecture, Engineering & Construction(建設・建築業界)
上記のうち日本法人が当面注力するのは、日本が強い産業といわれる「自動車・輸送機械業界」「産業機械業界」「ハイテク業界」。後々、徐々に新しい業界へも展開していく。日本法人のマーケティングリーダーとして、元ルノー・ジャポンのフランソワ・ロカ(Francois Roca)氏を迎え、チャネル拡大と統合化を推進していく。
同社は、自動車・輸送機器産業の抱える課題を下記3つに分類して分析している。
- 環境問題:市場は、電気自動車の技術、軽量化や安全性に関する技術の製品化を求めている。
- 都市化:人口増加および都市部への人口集中による、環境問題の発生、事故のリスクの増加。
- 消費者のふるまいの変化:市場は、特に若者を中心に、自動車を所有する(オーナーシップ)ことからシェアリング(ユーザーシップ)へ興味が移行している。モバイルデバイスやインターネットでかなえるカスタマイズ性、アップデート性を期待している。
こうした自動車・輸送機器産業業の問題の数々に対して提供を開始した第1弾のパッケージが「スマート、セーフ&コネクテッド」(2012年9月発表)だ。同製品はモジュラ形式で提供される複数のアプリケーションで、車両開発の初期段階におけるバーチャル検証に特化している。制御やメカなど異分野では個別に使用していた専用ツールを単一のプラットフォームに統合できる。このような課題に応じたパッケージを今後も次々とリリースしていくということだ。
また同社は、産業機器業界の抱える課題については以下だと見ている。
- 顧客からの個別要求対応:一品一葉の仕様にも対応しなければならない
- 多種製品をグローバルで開発・生産
- 迅速な市場投入と短納期化
- 商品からサービスへのビジネスモデル移行:本体を売って利益を上げるのではなく、アフターサービスで利益を回収する。
- メカからメカトロニクスへ移行:エレメカ協調開発の重要性の高まり。
上記に対しては、「シングル・ソース・フォー・スピード」(2012年7月発表)というパッケージを第一弾として提供している。調達から設計、生産、サービスまで、複数拠点で展開する製品開発プロセス全体を統合管理するソリューションだ。以後は、一品一葉の製品でも対応できるカスタムドキュメントシステムや、メカと制御の開発環境を統一化するパッケージなど提供していく。
ドバイオフィスも開設
ダッソーは2013年3月26日に同社のドバイオフィスを開設したと発表した。ここ2、3年で中東地域で同社顧客数を大きく伸ばしたという。アラブ首長国連邦における航空宇宙・防衛の政府関連機関、サウジアラビア王国の王立R&Dセンターなどがユーザーだ。署名な教育機関向けのパートナーシップ・プログラムも展開している。
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