富士重工のプラグインハイブリッドSUV、ボクサーディーゼルと3モーターを融合:電気自動車
富士重工業のプラグインハイブリッドSUVのコンセプトカー「SUBARU VIZIV CONCEPT」は、排気量2.0l(リットル)の水平対向ディーゼルエンジン「ボクサーディーゼル」と、車両前部の駆動/発電兼用の1モーター、車両後部の駆動専用の独立2モーターから構成される3モーターのプラグインハイブリッドシステムを搭載している。
富士重工業は、「第83回ジュネーブ国際モーターショー」(一般公開期間:2013年3月7〜17日、スイス・ジュネーブ)において、クロスオーバーSUV(スポーツ多目的車)タイプのプラグインハイブリッド車のコンセプトカー「SUBARU VIZIV CONCEPT」を公開した。排気量2.0l(リットル)の水平対向ディーゼルエンジン「ボクサーディーゼル」、高トルク対応のリニアトロニックCVT(無段変速機)、車両前部の駆動/発電兼用の1モーター、車両後部の駆動専用の独立2モーターで構成される3モーターのプラグインハイブリッドシステムや、運転支援システム「EyeSight」との協調制御による「エコクルーズモード」を搭載するなど、スバルブランドの未来像を示すコンセプトカーとなっている。
VIZIV CONCEPTは、2ドアで4人乗りのクロスオーバーSUVとなっている。外形寸法は、全長4320×全幅1900×全高1510mm、ホイールベースは2640mm。同社がクロスオーバーSUVとしてグローバル展開しているで「XV」と比べると、全長は130mm短く、全高は40mm低いものの、全幅は120mm広い。
新たに開発したプラグインハイブリッドシステムは、低速域や都市部では3つのモーターを使って発進と駆動を行い、高速域ではディーゼルエンジンと高効率のリニアトロニックCVTで走行するなど、各動力ユニットが得意とする領域に合わせて最適に使い分けることで良好な燃費性能を実現できる。
「SUBARU VIZIV CONCEPT」に搭載したプラグインハイブリッドシステム。排気量2.0lの水平対向ディーゼルエンジン、高トルク対応のリニアトロニックCVT、車両前部の駆動/発電兼用の1モーター、車両後部の駆動専用の独立2モーター、車室床下のリチウムイオン電池パックから構成されている。(クリックで拡大) 出典:富士重工業
エコクルーズモードは、インテリジェントモードやスポーツモードと併せて、「Hybrid SI-DRIVE」の運転モードの1つになっている。エコクルーズモードでは、EyeSightが検知する走行状況に応じてエンジンとモーターの出力を緻密に制御し、安全と環境性能に配慮した運転が可能である。
車両前部の1モーターと車両後部の駆動専用の独立2モーターは、走行用モーターとしてだけでなく、次世代AWD(四輪駆動)技術「リヤ独立モーター駆動タイプシンメトリカルAWD」にも用いられる。これら3モーターを協調制御することで、前後輪の駆動力を最適化し、スバルブランドが得意とするAWD車ならではの安全性能を実現できる。
例えば、ハンドルを切った時は後輪側の駆動力を増やしてドライバーの操作に俊敏に反応する特性にし、ハンドルを戻した時は前輪側の駆動力を増やして安定性重視の特性が得られるようになる。また、コーナリング時には、旋回外側後輪のトルクを増やし、内側は減らす制御を行って、車両に内向きのヨーモーメントを発生させ、応答性が高くスムーズなコーナリングを行えるという。
新たなデザインフィロソフィを採用
VIZIV CONCEPTは、 あらゆる路面状況、走行環境においても高効率・高性能を発揮する次世代クロスオーバーをコンセプトに、新たな哲学を基にしたエクステリアデザインを施した。シンプルでクリーンな面と線の構成をデザインの基本にし、塊(かたまり)感のあるボディと凝縮感のあるキャビンの理想的なバランスを追求している。
インテリアのデザインも、エクステリアデザインに共通するダイナミックな走りを予感させるデザイン表現に加え、ディテールパーツの繊細な作り込みにもこだわった。
運転席のインストゥルメンタルパネルのレイアウトは、ドライバーの操縦性、操作性を重視し、EyeSightの作動状況なども表示される。中央には視認性に優れたユニークな円筒型のタコメーターとスピードメーターを配し、機能とスポーティさを両立した。さらに、助手席前方と後席に専用のインフォメーションディスプレイを設置し、ドライバーと同乗者が運転の楽しさを共有できるようになっている。
関連記事
- 空を飛ぶ! 折りたたんで収納! スバルのパトカーがデザインチャレンジで優勝
富士重工業が、「2025年のハイウェイパトロールカー」のデザインチャレンジで優勝した「SHARC」は、「EyeSight 3D」を使った自動運転や、空を飛ぶ「ホバーモード」への変形、折りたたんでの収納が可能である。 - 開発中止の危機を乗り越えヒット商品に、「EyeSight」成功の原動力とは
富士重工業のステレオカメラを用いた運転支援システム「EyeSight」の販売が好調だ。同社の主力車種「レガシィ」では、新車販売時の装着率が90%にも達するという。ヒット商品に成長したEyeSightだが、今ある成功の陰には開発陣の20年以上にわたる苦闘があった。基礎研究の段階から開発に携わってきた樋渡穣氏に、EyeSight開発の道のりについて聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.