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製造ITは品質改善に役立つのかモノづくり最前線レポート(34)(2/4 ページ)

グローバル展開が必然のものとなった日本のモノづくり企業。海外拠点との生産性の違いが課題として立ちはだかる。品質改善や不良品対応を「匠の技」として祭り上げていないだろうか。これではグローバル展開は難しい。ITによる適切な道具立てとそれを支えるマインドセット、さらにマネジメントの変革が解決には必要だと専門家は説く。

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悪循環から抜け出すには

 このような悪循環から抜け出す手法として善入氏が提案するのが、ステップアップでの取り組みだ。第一歩がIT化の推進だ。

 なぜだろうか。IT化によって測定管理が効率化するからだ。情報が分かりやすくデータ化されることで、早い段階で異常に気が付く。品質管理レベルも向上し、不具合が減る。管理業務ではなく、もっと本質的な仕事に時間を割くことができるため顧客満足度や従業員満足度も向上することになる。

 IT化は次のステップへの第一歩でもある。IT化によって従業員にも気付きが出てくるからだ。効率化をさらに進めるための取り組みをもっと積極的に行うことができるようになるのだ。

 以上の取り組みはステップアップとして捉えることもできる。匠の技頼みだった現場を、まずIT化を進めることで定性的に品質を保ち、風土を改善し、組織全体で生産活動を掌握するレベルに至るという取り組みが必要だという主張だ(図2)。


図2 ステップアップ論 出典:ワイ・ディ・シー

 図2にある「“定性的”に品質を保つ」というステップは、ITによって「知る、分析する」というステップでもある。このステップで実現することは何だろうか。部門横断でデータを蓄積し、共有化できるようにするということだ。つまり、皆が知りたい情報の「見える化」が進む。

 加えてアクセスしやすい製造情報の専用画面(ダッシュボード)に問題を投げかけると、リアルタイムで問題を共有でき、必要なアドバイスが迅速に届くようになる。問題解決までのスピードが速くなるということだ。これが実現できると風土を改革するステップへの準備が整ったことになる。

 悪い情報はどの企業でも隠されがちだ。ところが仕組みが整えばむしろオープンにすることで課題の解決が早くなる。これが実感できるようになると、情報がさらにオープンになってくる。

 迅速に処理できることのメリットは想像以上だ。せっかくデータが収集できてもその加工に大変な手間が必要なままだと、加工だけ疲れてしまい、本来データから得られるはずの気付きがなくなってしまう。しかし、IT化によりこのプロセスが容易になると、自らやるべき課題を見つけ、自発的なアクションがすぐにとれるようになる。

 アクションの成果がすぐに確認できることで、モチベーションが高まり、さらにどのようなデータをとるべきかが分かる。そして改善につながるというPDCAサイクルがきちんと回るようになる。つまりは、組織的な改善につながるということだ。

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