第18回 CADデータの統合:前田真一の最新実装技術あれこれ塾(1/3 ページ)
実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第18回は、電子機器を設計する際のCAD/CAEソフトの必要性や、「ハードとソフト」「メカと電気」の協調設計の重要性について解説する。
本連載は「エレクトロニクス実装技術」2012年9月号の記事を転載しています。
1. 開発に使う多くのソフト
電子機器は電子回路だけで成り立っているわけではありません。
電子機器を効率的に設計するためには実に多くのCADやCAEのソフトを使う必要があります(図1)。スマートフォンやタブレットなどでは、ICやコンデンサなどの電子部品、基板、液晶などからなる電子回路のほかに、キーボードやコネクタ、スイッチなどの部品もあります(図2)。これらは電子回路の一部ですが、このほかに筐体、筐体をとめるねじなどの純粋な機構部品が多くあります(図3)。
このように、携帯電子機器のようなエレクトロニクス主体の機器の場合でも機構設計は大きな割合を占めています。当然、ここでは電気系のEDAと同じように機構系のCADが多く使われます(図4)。逆に、自動車や航空機などのようにエレクトロニクスが主役ではないと考えられていたもの、工業用ロボットなどの産業機器など、機構設計が主となる装置でも、装置の動作をさせるための電子回路機器は多く使われています。
筐体の設計には3次元の機構CADが利用されます。機構部品の動作を解析するためには3次元の作動シミュレータや応力解析ソフトも使われます(図5)。電子回路設計には電気系のシミュレータや基板設計CADが使われます。
図4 機構CADの電子機器設計アプリ(CATIA)http://www.3ds.com/jp/solutions/high-tech/high-tech/product-engineering/mechatronics-engineering
またソフトも大きな要素です。メカトロニクスと呼ばれるように、エレクトロニクスで機構動作をコントロールする装置では必ず、機器の複雑な動作をソフトでコントロールしています。メカトロニクスになれば、メカの動作をコントロールするためのソフトが主役になり、電子回路はメカとソフトの間を取り持つ脇役となっています。
このように、電子機器の開発には単に電子回路や基板だけではなく、メカ、ソフトも同時に開発する必要があります(図6)。電子回路が主のスマートフォンやタブレット端末では、装置はソフトを動かすプラットフォームと考えられます。
現在の電子回路では回路を動作させる上で、ソフト自体も大きな要素です。ASICをはじめとするLSIには内部にマイクロプロセッサとメモリが組み込まれていて、組み込みソフトにより回路の動作をコントロールしています。これは、DDRメモリインタフェース、PCI Express インタフェースなど非常に多くが使われています(図7)。
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