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デジタルが進化させる、かわいい手芸の世界これもFabの形「ぬいぐるみCAD」(3/4 ページ)

今回は、意外な3次元データ活用事例の紹介。一見、デジタルとは無縁そうな手芸の分野でもCADが使われているってご存じでしたか?

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ビーズ作品の設計も

 五十嵐氏はさらにビーズ作品をデザインするシステムも制作している(図9、10)。



図9 ビーズ作品の作図画面

図10 実際に作ったビーズ作品

 ビーズ作品を自分でデザインするのはぬいぐるみよりも難しいかもしれない。なぜなら、デザインをドット(ビーズ)の集まりに落とし込んだり、ビーズへのワイヤーの通し方を考えたりするなど、デザインに独特の制約が伴うからだ。

 プログラムを作るために五十嵐氏らが実際のビーズ作品を調べたところ、多角形をつなぎ合わせた多面体として記述できる構造が多いことが分かった。なおビーズはその多角形の辺の場所に位置する。またワイヤーは隣り合う辺同士を固定するために、同じビーズを2回通る必要がある。

 これらの分析から、ビーズ設計システムではいくつかの基本的な正多面体および半正多面体(2種類以上の正多角形を組み合わせた多面体)を用意し、それを組み合わせたり変形したりして形を作っていくことにした(図11)。


図11 (左)正多面体および半正多面体を組み合わせて形状を作る。正十二面体を2つつなげたところ。(右)多角形の辺の上にビーズが配置される。

 さらに五十嵐氏は、ビーズ作品を多面体の構造として記述することで、多面体の辺上のワイヤーの通し方をいわゆる一筆書きのオイラーグラフとして扱えることを発見した。これによりワイヤーの通し方をプログラムで解けるようになった。このシステムも制作までのおよその時間が示される。ビーズの通し方を図12のような展開図でなく、1ステップずつ表示できるのが紙ベースの制作テキストとの大きな違いとなる(図13)。


図12 右の図は左の犬の編み図。通常のテキストではこのような図を参考にビーズをつないでいく。(出典:学研「子犬のモチーフ」牧ゆみ子著)

図13 プログラムではワイヤーの通し方が1ステップずつ示される。

 また3次元のデータを利用するプログラムも作っている。ただそのまま使うと大抵細かくなってしまい工作時間が長くなるので、辺の数を自動で減らす機能を用意している。単純に減らすとウサギの耳といった細い突起物がなくなってしまう可能性があるので、うまく残すアルゴリズムも作っているということだ。また取り込むのは表面を三角形に分割したポリゴンデータだが、六角形の方がきれいに仕上がるため、六角形への変換もする(図14、15)。



図14 取り込んだ3次元モデルは細かいことが多いため、メッシュを粗くする。さらに仕上がりをきれいにするために、三角形から六角形に変換する。

図15 実際に作ったウサギのビーズ作品。

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