ルネサスが「40歳以上総合職」の早期退職募集を実施へ、3千数百人規模に:ビジネスニュース
ルネサス エレクトロニクスは、2013年9月末をめどに40歳以上総合職を中心とする3千数百人規模の早期退職募集を実施するとともに、半導体の販売や設計、製造を担当する子会社9社を再編すると発表した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2013年1月17日、同年9月末をめどに40歳以上総合職を中心とする3千数百人規模の早期退職募集を実施するとともに、半導体の販売や設計、製造を担当する子会社9社を再編すると発表した。併せて、これらの施策を進めるため労働組合に申し入れと説明を行い、協議を開始した。
同社は2012年12月10日に、官民ファンドの産業革新機構と顧客企業8社から総額1500億円の出資を受け、将来の成長に向けて競争力を強化するための施策を発表している(関連記事)。ルネサス社長の赤尾泰氏は、「産業革新機構からは、さらなる固定費の削減を求められており、人員削減などを含めた追加の合理化策を検討している。具体策は今後、産業革新機構などと協議していくことになる」と述べていた。今回の早期退職募集と子会社の再編は、この具体策の1つとなる。
2014年度末のグローバル従業員数は2万7000人に
早期退職募集の対象者は、「当社と国内連結子会社社員の40歳以上の総合職など」となっている。ルネサスによれば、7500人規模となった2012年10月末付の早期退職募集の実施後も、直接人員に比べて管理職を含む間接人員の構成比率が依然として高いという。そこで、「今後費用構造の改善と成長戦略を確実かつ並行して実行していくために、従来の検討課題であった間接業務・間接人員の効率化を加速し、意思決定の迅速化を図る」(同社)という狙いがある。
前回と今回の早期退職募集による人員削減規模は約1万1000人に上る。さらに、2014年度末までに譲渡や閉鎖を検討している工場の人員が約4千数百人いることを考慮すれば、人員削減規模は約1万5000人に達する。ルネサスのグローバルの従業員数は、2012年9月末の約4万1900人から、2014年度末には約2万7000人まで減少することになる。
子会社9社と玉川事業所の設計支援部門を再編
再編対象となっている9つの子会社は、販売、半導体の回路設計と応用技術、設計支援と品質保証、製造の4つに分けられる。
1つ目の販売については、国内販売会社であるルネサス エレクトロニクス販売(東京都千代田区、従業員数約500人)をルネサスに統合して営業体制を再編する。
2つ目の半導体の回路設計と応用技術では、ルネサス マイクロシステム(横浜市神奈川区、従業員数約1300人)、ルネサスデザイン(兵庫県伊丹市、従業員数約750人)、ルネサスソリューションズ(東京都千代田区、従業員数約450人)の3社が再編対象となる。まず、半導体の回路設計を担当しているルネサス マイクロシステムとルネサスデザインを1社に統合する。ソフトウェアとツールの開発を担当しているルネサスソリューションズに、ルネサス マイクロシステムのソフトウェア/ツール開発部門を統合する。
3つ目の設計支援と品質保証については、ルネサス武蔵エンジニアリングサービス(東京都小平市、従業員数約350人)、ルネサス北伊丹エンジニアリングサービス(兵庫県川西市、従業員数約100人)、ルネサス高崎エンジニアリングサービス(群馬県高崎市、従業員数約150人)、ルネサス玉川事業所(川崎市中原区)の設計支援部門の設計支援や品質保証、IT関連などの業務に携わる人員(約120人)の3社1事業所が対象。ルネサス武蔵エンジニアリングサービスとルネサス北伊丹エンジニアリングサービスを統合し、新たな設計支援会社を設立し、ルネサス高崎エンジニアリングサービスと玉川事業所の設計支援部門の人員も新会社に集約する。
これらの半導体の回路設計に関する子会社再編により、「コアコンピタンスであるマイコンを軸としたアナログ&パワー半導体やSoC(System on Chip)とのキットソリューションを顧客に提供するビジネスに加え、アプリケーションごとに共通して使用できるIP(Intellectual Property)やOSなどのソフトウェアをプラットフォームとして提供するビジネスを目指す」(ルネサス)としている。
4つ目となる製造では、ルネサス東日本セミコンダクタ(東京都中央区、従業員数約300人)とルネサス北日本セミコンダクタ(北海道七飯町、従業員数約900人)の2社を統合する。ルネサス東日本セミコンダクタは、東京事業所の閉鎖、長野事業所の村田製作所への譲渡、ルネサス東日本セミコンダクタの100%子会社であるルネサスハイコンポーネンツのアオイ電子への譲渡などを行っている。また、ルネサス北日本セミコンダクタも、津軽工場を富士電機に譲渡し、函館工場の譲渡を検討している。さらに、工場再編の推進によって再編対象の2社の事業規模が大幅に縮小する見通しであることから、両社を統合することとした。
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