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これだけは知っておきたい! 「マーケティングって何?」(前編)目指せT字型人材! 中小企業エンジニアのスキルアップ(2)(2/3 ページ)

今回は、身近な存在のようだけど、いまひとつ理解しづらい「マーケティング」についての解説。T字型人材を目指すエンジニアなら、ちゃんと説明できるようになっておきたい。

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3.複数の市場セグメントに1つの製品(製品専門化)

 「製品専門化」は、複数の市場セグメントに1つの製品を投入するやり方です。言い方を変えれば1つの製品に集中することです。このやり方は、1つの強力な製品を持つ企業には適したやり方です(図3)。


図3 製品専門化:「コトラーのマーケティングマネジメント ミレニアム版」を基に筆者が作成

4.1つの市場セグメントに複数の製品(市場専門化)

 「市場専門化」は、1つの市場セグメントに複数の製品を投入するやり方です。このやり方は、特定の市場セグメントのさまざまなニーズに答えられるため、特定市場セグメント内での総合的な満足度を高めることが可能です。例えば、先ほど出てきた「30〜35歳の男性で健康志向の人」という市場セグメントに対してなら、ランニングシューズ、ランニングウェア、スポーツウオッチなどを提供するということです(図4)。


図4 市場専門化:「コトラーのマーケティングマネジメント ミレニアム版」を基に筆者が作成

5.全市場に全製品(市場のフルカバレッジ)

 「市場のフルカバレッジ」は、全ての市場セグメントに対して自社の製品を全て投入するやり方です。経営資源が豊富な大企業などに適したやり方です(図5)。


図5 市場のフルカバレッジ:「コトラーのマーケティングマネジメント ミレニアム版」を基に筆者が作成

 このようなやり方で標的とする市場セグメントを選択していくのですが、その際に気を付けなければならないことがあります。

 まずは、「ビジネスが成り立つかどうか」ということです。具体的には、標的市場セグメントの市場規模、収益性、成長性などに気を付ける必要があります。そうしないと、市場セグメントの規模が小さすぎて自社の企業規模に見合った収益を上げることができなかったり、既に市場セグメントが縮小傾向にあり、成長が見込めなかったりということになりかねません。

 次に注意しなければならないのが、「自社の方向性と合致しているかどうか」です。企業には長期的な目的、いわゆる経営理念やビジョンが存在します。たとえ高い収益性が見込まれる市場セグメントを発見したとしても、自社が進むべき方向性と合致しないのであれば、進出には慎重な判断が必要です。顧客、従業員や株主など企業を取り巻く関係者が「この事業を行う意味があるのか」と不信感を抱いてしまうと、それが自社の事業全体に悪影響を及ぼす可能性があるためです。

 このようにターゲティングに幾つかのパターンがありますが、自社にとって過剰なターゲティングを行ってしまうと経営リスクが高まり、逆に過小だとビジネスチャンスを逃してしまうことになります。限りある経営資源を最大限効率的に使用することがターゲティングにおいて重要なのです。

ポジショニングで競争を回避する

 セグメンテーションとターゲティングの後は「ポジショニング」というプロセスに移ります。ポジショニングとは、標的市場セグメント内で「自社の製品やサービスを顧客にどのように認知させるか」を決定することです。

 例えば、あなたが新しい部署に異動になったとしましょう。あなたを評価する新しい上司は、あなたにとっての顧客だと捉えられます。ポジショニングとは、その“顧客”から「仕事が早い人間と思われたいか」あるいは「誠実で真面目な人間と思われたいか」を決めることです。

 「そんなことを決める必要があるの?」と思う方もいるかもしれませんが、それには理由があります。標的市場セグメントに存在する競合他社と差別化を図るためです。自社にとって魅力的な市場セグメントをいくら選び出したとしても、そこには少なからず競合が存在することがほとんどです。そのため、直接競い合うよりも、立ち位置を変えて無用な競争を回避した方が自社にとっては有益です。

ポジショニングの代表的手法「知覚マップ」

 ポジショニングを行う代表的な手法に「知覚マップ」があります。知覚マップとは「顧客の心の中の地図」のようなもので、自社と競合他社が顧客の心の中ではどのように認識されているかをマッピングしたものです。

 具体的には、まず品質や価格といった顧客が「価値」を感じる評価軸を2つ選び出し、それらを縦軸と横軸に当てはめます。次に縦軸と横軸で4つに分けられて区分の中で、自社および競合他社がどこに位置付けられるかをマッピングしていきます。その結果、自社と競合他社との関係性が視覚化でき、「自社独自のポジションを築くにはどうすればよいのか」が見えてくるのです。

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