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空港も港もないのにどうやって設置? 「島国」の太陽光チャレンジスマートグリッド(1/3 ページ)

国内で必要な電力の150%を太陽電池でまかなう国トケラウ。しかし、トケラウには空港も港もない。最寄りの工業国ニュージーランドは3000kmも離れている。これでどうやって太陽電池を設置したのか。建設の様子を写真で紹介する。

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 前回紹介した太陽光150%の「国」が実現、南太平洋からの続報を送る。

 前回は「トケラウ」と呼ばれる南太平洋の島国に容量1MWの太陽光発電システム(メガソーラー)を設置した理由を紹介した。結論は以下の通り。

  1. 現在普及している一般的な技術を使うだけで、小国であれば全ての電力需要を太陽電池と二次電池の組み合わせでまかなうことができる(図1
  2. 発電のためにこれまで利用可能だったリソースは輸入品の石油だけだった。これでは毎年の燃料費に加えて輸送費がかさむ。一方、全てを太陽光発電システムに置き換えたとしても7年程度でペイする
  3. 石油依存に苦しんでいる国は非産油国では珍しくないが、特に厳しいのは水力発電なども利用できない南太平洋の島しょ諸国だ。このため、フィジーなど数カ国がトケラウの後に続く

図1 夕日の様子 南太平洋の孤島が手にした巨大な「核融合炉」。燃料費や輸送費、発電後の汚染物質の心配をすることなく、電力だけを入手できる。出典:ニュージーランドPowerSmart Solar、以下同じ

何が課題だったのか

 欧州や日本などは建築技術に優れ、輸送機関も発達している。このため、太陽光発電システムの建造や輸送自体に技術的な課題が少ない。それよりも、いかに部材の仕様を共通化し、人材を教育し、素早く低コストで取り付けられるかが勝負になっている。先進国においては太陽光発電システムの設置コストに占める太陽電池本体の比率は半分以下に下がっており、設置にかかわるそれ以外の費用が重要なのだ。

 一方、トケラウは工業国ではない。空港はもちろん、きちんとした港湾設備もない。国内の輸送機関も未発達だ。これでどうやって設置するのか。材料は全て3000km以上離れたニュージーランドから運ばなくてはならないというのに。

 設置を担当した企業、ニュージーランドPowerSmart Solarから建設の様子を撮影した写真を入手したので紹介しよう。

導入を決めるまで

 トケラウには川はない。化石燃料も産出しない。サンゴ礁の砂でできた島国(環礁)だからだ。そのため、太陽光以前はディーゼルエンジン用燃料を全量ニュージーランドから運んでいた(図2図3図4)。


図2 ディーゼル発電機 トケラウの全人口は1500人と少ないため、発電機の規模も大きくない。

図3 うち捨てられたドラム缶 年間2000バレルの燃料を輸入している。使用後の缶を3000km先まで送り返すには手間がかかる。

図4 トケラウのスクールバス ニュージーランドBrent Smith Trailersの農業用軽トレーラーを代用したもの。電力を全て太陽光でまかなったとしても輸送用の燃料の需要はまだ残っている。幸い輸送量が少ないため、負担は重くない。

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