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第7回 銅の限界前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/3 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第7回は、現在も広く利用されている、銅を用いた電気インタフェースの高速化の限界について考察します。

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2. 銅配線の壁

 結論からいうと、銅配線でも50GHz(100GT/s)程度の信号は伝送が可能です。現在、銅配線で使う同軸ケーブル用のSMAコネクタや、SMPコネクタ(図7)などでは帯域が40GHzから60GHzの伝送が可能となっています。

 ちなみに、ケーブルやコネクタ、測定器の帯域は信号の損失が-3dB(デシベル)以下の周波数を指します。

 今年(2011年)のDesigConでも基板配線で40GHzを伝送した論文が発表されています(※1)。多分、さらに高速な発表も出てくるでしょう。

(※1)Jamal S. Izadian, Julian Ferry, Justin McAllister, ”Novel Transmission Line for 40 GHz PCB Applications” 2011 DesignCon

図7 高周波信号用コネクタ
図7 高周波信号用コネクタ(クリックで拡大)

 しかし、銅配線では、信号が高速になればなるほど、損失の問題が大きくなります。また、信号が高速になるとノイズの問題も大きくなります。

 損失やノイズに対する対策を施すコストと銅を光にするコストのブレークスルーが銅の限界となります。損失への対応には損失を小さくすることと、損失を補う工夫をする2種類の対策があります。損失を低減するためにはまず、配線長さを短くすることです。損失は配線長さに比例しますので、配線が短くなれば、短くなった分、損失が低減されます。Thunderboltの銅線規格で、ケーブルの長さ制限があるのはこの理由です。

 次には、損失を低減させるような材料を使います。損失には誘電損失と抵抗損失の2つがあり、これら2つの数字が小さければ損失が小さくなります。

 誘電損失は基板のコアやプリプレグに使われる誘電体の誘電率と誘電正接(tanδ)と呼ばれる2つの物理的特性からその大きさが決まります。

 一般に使われるFR-4材料は1GHzでの特性は誘電率が4.5〜5.0程度、誘電正接は0.01〜0.02程度です。誘電率が3.5〜4.0程度、誘電正接は0.001程度の低損失基板材料があり、高周波回路には良く使われています。しかし、これらの材料を使った基板の価格が高くなります。

 抵抗損失は導体の表皮効果により、高い周波数の電気信号は導体の表面にしか電流が流れない表皮効果のため、導体の電気抵抗が増大してしまうことによります。

 導体の表面にしか電流が流れないと、電流を流すことができる導体の断面積が減少して、導体の面抵抗が大きくなります。さらに、導体の表面に小さな凹凸があると、電流がその凹凸にそって流れるため、電流の流れる距離が長くなり、抵抗が増大します(図8)。このため、基板の銅箔表面を出来るだけ平滑にする必要があります。

図8 銅箔表面粗さ
図8 銅箔表面粗さ(クリックで拡大)

 このために、表面が滑らかな銅箔を使い、基板を作成し、さらに銅箔の表面を滑らかにする処理を施します。通常の銅箔はコア基板との接着部は銅箔と基板表面を荒くして、アンカー効果とよばれる基板表面の細かい穴に銅箔が食い込む工夫をして、基板と銅箔の密着度を上げています(図9)。このため、表皮効果による抵抗損失はさらに大きくなります。

図9 銅箔表面
図9 銅箔表面(クリックで拡大)

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