横河ディジタル、フラッシュオンボードプログラマの最新版「NETIMPRESS next」を初披露:ET2012
横河ディジタルコンピュータは「Embedded Technology 2012/組込み総合技術展」において、生産ライン向け汎用フラッシュオンボードプログラマの最新版「NETIMPRESS next AF430」を披露した。自動車分野の他、白物家電分野での展開を狙う。
横河ディジタルコンピュータは「Embedded Technology 2012/組込み総合技術展」において、11月5日に発表したばかりの生産ライン向けの汎用フラッシュオンボードプログラマ「NETIMPRESS next AF430」を出品した(提供開始は2013年1月中旬を予定している)。
同製品は、製品として完成した状態の基板上に配置されたマイコンのフラッシュメモリに対し、デバッグ済みのソフトウェアプログラムを書き込むためのツール(これをオンボードタイプという)である。1998年より同社が展開してきた「NETIMPRESS」シリーズの完全上位互換(従来シリーズが対応するマイコンを全てサポート)の最新バージョンに当たる。「ものとして同じボード(基板)だが、製品を販売する国や地域ごとに中身のソフトウェアプログラムを書き換えて、展開しなければならないような製品に適している。例えば、各国の基準などに合わせて、製品を出荷する必要のある自動車のECUなどだ」(説明員)。実際、NETIMPRESSシリーズのメインユーザーは自動車メーカーであり、エンジンやハイブリッド車のモーター制御のECUなどへのソフトウェアプログラムの書き込み/書き換えに、同製品が活用されているという。
同製品は、従来品と比べて、書き込み先との通信スピードが倍の10Mbpsに向上している。また、バーコードリーダーを接続するためのRS-232Cインタフェースを搭載しており、バーコード読み取りによる書き込み品種(ソフトウェアプログラム)の切り替えが可能になったという。「同一の基板に対し、異なるソフトウェアを書き込むことで複数の製品バリエーションを展開するような場合、手動での切り替えだと、書き込むべきものを取り間違える可能性がある。バーコードであれば、こうした間違えを抑制でき、作業者の確認の手間などが軽減できるため、海外で生産するような製品などにも向いている」(説明員)。展示会場では、書き込み品種ごとに用意されたQRコード(3パターン)をバーコードリーダーで読み取り、該当するソフトウェアプログラムをマイコンに書き込むデモを実演していた。
NETIMPRESS next AF430とバーコードリーダーによる書き込み処理の実演デモ。パターンの異なるLED点灯プログラムが3つ用意されており、バーコードリーダーで各プログラムに該当するQRコードを読み取ると、マイコンのフラッシュメモリの中身がそのプログラムに書き換えられ、LED点灯プログラムが実行されるというもの
さらに、今回のモデルでは、製造設備(治具など)との連携制御を可能にするために、デジタルI/Oが搭載されている。「これにより、例えば、製造設備側の表示器に『書き込み中』というステータスを表示させたり、『OK』や『エラー』といった書き込み結果を表示させたり、あるいはランプを点灯させることで異常を知らせたりということが、PCレスで行えるようになる」(説明員)という。
今後は、従来のメインユーザーである自動車分野だけではなく、エアコンや洗濯機、LED照明といった、同一基板で多品種を取り扱う白物家電分野での展開に期待しているとのこと。
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