三菱自動車が「アウトランダー」ベースのPHEVを開発、2013年初に国内発売:電気自動車
三菱自動車は、SUV(スポーツ多目的車)「アウトランダー」ベースのプラグインハイブリッド車(PHEV)「アウトランダーPHEV」を開発した。2012年9月末から開催される「パリモーターショー 2012」に出展する。2013年初めには、国内向け販売を始める予定だ。
三菱自動車は2012年9月5日、フランスのパリで9月27〜10月14日に開催される「Le Mondial De L' Automobile(パリモーターショー) 2012」において、SUV(スポーツ多目的車)「アウトランダー」をベースに開発したプラグインハイブリッド車(PHEV)「アウトランダーPHEV」を出展すると発表した。2013年初めに国内向けに販売を開始した後、欧州や北米にも順次展開を広げる予定だ。
同社は、SUVなどの中型サイズ以上のPHEVに搭載する「プラグインハイブリッドEVシステム」を開発しており、2011年末の「東京モーターショー」では、同システムを搭載するコンセプトカーとして「PX-MiEVII」を発表していた(関連記事)。アウトランダーPHEVは、このPX-MiEVIIを量産モデルとして仕上げた車両になる。
アウトランダーPHEVの外形寸法は全長4655×全幅1800×全高1680mm、車両重量は1810kg。2012年7月からロシアで販売を開始し、2012年9月からは欧州でも販売を始めるアウトランダーがベースになっている。
プラグインハイブリッドEVシステムは、電気自動車(EV)「i-MiEV」などのEV技術と、同社のエンジン技術を融合させて開発した。前輪側と後輪側に走行モーターを1個ずつ搭載し、それぞれを独立して駆動することができる。走行モーターの最高出力は、両方とも60kW。最大トルクは、前輪側が137Nm、後輪側が195Nmと異なる。エンジンは、排気量2.0l(リットル)の4気筒MIVECガソリンエンジンを搭載する。
3つの走行モード
走行モードは3つある。1つ目は、リチウムイオン電池パックの電力とモーターで走行する「EV走行モード」。2つ目は、リチウムイオン電池パックの電力が少なくなった場合や、急加速が必要な場合に、走行モーターとは別に用意した出力70kWの発電機とエンジンを使って発電する「シリーズ走行モード」である。最後の3つ目は、エンジンの駆動力を主体にして走行し、モーターは走行をアシストする側に回る「パラレル走行モード」だ。同モードは、エンジンの効率が良い高速走行時などで利用する。
リチウムイオン電池パックの容量は12kWhで、EV走行モードであれば55km以上(JC08モードの場合)走行できる。国内の一般ドライバーの85%は、1日の平均走行距離が55km以下であることから、日常生活のほとんどでエンジンを使わないEV走行モードを利用できると想定している。スイッチ操作によりエンジンを使った発電で充電できる「バッテリーチャージモード」も設定した。この機能は、停車中、走行中ともに利用可能だ。
燃料タンクが満タン、電池パックが満充電の状態であれば、ガソリンの補給や充電を行わずに880km以上を走行できる。PHEV向けの燃費である複合燃費は61.0km/l以上になる。この値は、トヨタ自動車のPHEV「プリウスPHV」と同等である。
国内仕様の車両には、最大出力1500Wの家庭用コンセントを搭載する。また、急速充電コネクタを使って、住宅用の蓄電池として利用することも想定している。
2個の走行モーターを用いた四輪駆動(4WD)システム「ツインモーター4WD」も大きな特徴となっている。一般的な4WDシステムのように、前輪側と後輪側を機械的に結合するプロペラシャフトなどを持たないので、レスポンスの良いきめ細やかな制御が可能になり、摩擦損失も低減できる。これに、三菱自動車独自の車両運動統合制御システム「S-AWC」を組み合わせることで、高い走行安定性と操作性を実現できたという。
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