「痛みや犠牲があってもルネサスを残す」、赤尾社長が事業再建計画を説明:ビジネスニュース 企業動向
ルネサス エレクトロニクスは2012年7月3日、東京都内で、事業再建計画に関する会見を開いた。同社社長の赤尾泰氏は、「ルネサスがなくなるか、痛みや犠牲があっても残すか、どちらを選ぶか問われれば、間違いなく残す方を選ぶ」と言明した。
「譲渡もしくは閉鎖する工場がある地域に大きな影響があることは分かっている。しかし、ルネサスがなくなるか、痛みや犠牲があっても残すか、どちらを選ぶか問われれば、間違いなく残す方を選ぶ。今回の再建計画はそのためのものだ」――ルネサス エレクトロニクスが2012年7月3日に東京都内で開いた事業再建計画に関する会見で、同社社長の赤尾泰氏が語った言葉である。
会見で赤尾氏は、事前の発表通り、前工程9拠点15ライン、後工程9拠点を対象とした国内生産拠点の再編と、5千数百人規模の早期退職募集について説明した(関連記事)。先述の言葉は、その後の報道陣との質疑応答の中で飛び出した。
赤尾氏は、厳しい判断を迫られた背景として、東日本大震災の影響やその後の景気悪化に加えて、NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが合併してルネサス エレクトロニクスが誕生するきっかけとなった、リーマンショック後の世界経済の変容を見通しきれなかったことを挙げた。「数年ごとに半導体需要が上下するシリコンサイクルを基に、『何事もなければこれくらいの業績を出せる』というトップラインを見た考え方では、現在の厳しい状況を乗り切れない。そこで思い切った手を打つべきだと判断した」(同氏)という。
3年以内に事業再建を完了
赤尾氏は、今回の国内生産拠点の再編を含めた事業再建計画を、3年以内に完了させる方針を示した。譲渡もしくは閉鎖する方針を固めた8工場については、「可能な限り譲渡する方向で進めたい。ただし、当社が製造を継続して委託できる相手でなければ、譲渡は難しい」と説明した。これら8工場と、閉鎖を決めている甲府事業所(山梨県甲斐市)の6インチライン、高崎事業所(群馬県高崎市)の5インチラインの従業員数は、「合計で3000〜4000人」(同社取締役執行役員 生産本部長の鶴丸哲哉氏)になる見込みだ。
ルネサスの再建計画における人員削減の規模は、これまでの通信社や新聞の報道では、1万4000人に上ると言われていた。しかし、今回の早期退職募集は5千数百人規模にとどまる。赤尾氏は、「事業再建計画の中では、早期退職を募集する人数規模はこの人数になる。3年後に事業再建が完了する時点までには、今回の早期退職と同じ程度の規模で人員が減っているだろう」と述べた。つまり、3年間の合計で1万人強の人員削減を見込んでいることになる。
ルネサスは、NEC、日立製作所、三菱電機の親会社3社と、今回の事業再建計画のための資金援助を受けることで合意している。赤尾氏は、「手元資金は、事業継続に必要な分は十分確保している。しかし、事業再建計画を進めるには不足していたので、3社に支援を仰いだ」と説明した。
売却の検討を一部で報道されていた高知事業所(高知県香南市)については、「工場の2階をある企業に貸与しているが、売却の予定はない」(赤尾氏)という。
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