クルマで「Opera」? カーナビのUIがWebブラウザベースになる:HTML5とWebGLでグリグリ動く(1/2 ページ)
現在、カーナビをはじめとする車載情報機器の差異化を目指す上で最も重要だといわれているのがユーザーインタフェース(UI)だ。Webブラウザ「Opera」で知られるOpera Softwareは、「カーナビのUIは、Webブラウザベースにすることでより魅力的なものになる」と意気込んでいる。
カーナビゲーションシステム(カーナビ)をはじめとする車載情報機器を、他社製品といかにして差異化するのか。ARMの「Cortex-A9」やIntelの「Atom」といった車載情報機器向けプロセッサは、かつてと比べて格段に処理能力は向上しているものの、ハードウェアそのもので差をつけるのは難しい状況にある。
そこで、差異化の最大の要因になると言われているのが、顧客との直接の接点となるユーザーインタフェース(UI)である。例えば、Volkswagenグループは、車載情報機器のナビゲーションやエンターテインメントなどの機能をつかさどる中核の制御ユニットを共通化する一方で、UIはPorscheやAudi、Volkswagen、Skodaなどのブランドに合わせて変更する方針を明らかにしている(関連記事)。
この車載情報機器のUIを、全てWebブラウザベースで実現できると意気込むのが、Webブラウザ「Opera」で知られるOpera Softwareだ。Ford Motor(フォード)のピックアップトラック向け車載情報機器「Ford Work Solutions」に採用された実績を基に、カーナビの有力メーカーがひしめく日本市場での採用を目指している。
Operaと言えば、PC向け以外に、組み込み機器向けにもWebブラウザを展開してきたことで知られる。Opera Softwareでテレビとコネクテッドデバイス製品担当のバイスプレジデントを務めるFrode Hernes氏は、「1998年に、携帯電話機用の組み込み機器向けのブラウザの提供を始め、その後ゲーム機、STB(セットトップボックス)、スマートテレビなどに採用範囲を拡大してきた。今後は、車載情報機器にもOperaの採用を広げていきたいと考えている」と語る。
Operaは、PC向けであれ、モバイル機器向けであれ、そして車載情報機器向けであれ、同一のレンダリングエンジン「Presto」をベースにしている。いわゆるクロスプラットフォームになっているので、ある機器向けに開発したUIやアプリケーションを他の機器でも利用できるのだ。現在のPrestoは、最新のHTML5、CSS3、WebGLにも対応しており、ARM、x86、MIPSの命令セットに対応したJavaScriptのJITコンパイラも搭載している。つまり、Operaを使えば、PC向けのWebブラウザなどで実現されている、HTML5ベースのアプリケーションや、WebGLベースの高解像3Dグラフィックスを利用できるわけだ。Hernes氏は、「HTML5やWebGLにより、カーナビのUIをよりダイナミックで魅力的なものに作り替えられる」と強調する。
Webブラウザ上でHTML5ベースのアプリケーションを使用できるのもOperaの特徴である。同社は既に、STBやスマートテレビ向けに「Opera TV Store」という独自のアプリケーションマーケットを開設している。Opera TV Storeでは、音楽プレイヤーや動画プレイヤー、ネットラジオ、天気予報アプリ、ゲーム(「Angry Birds」など)などがある。これらを車載情報機器でも利用できるのだ。
この他、車検などで車両の診断情報を表示する機器向けに、CSS3を活用して車検用の膨大なページ数のマニュアルを閲覧する機能なども準備している。もちろん、Webブラウザ本来の機能である、Webサイトの閲覧に利用できるのは当然のことだ。
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