【ESEC2012】「次はこれが来る!!」――家電や身近なサービスへの応用が期待される注目技術:組み込みイベントレポート(1/3 ページ)
2012年5月9〜11日の3日間、東京ビッグサイトで「第15回 組込みシステム開発技術展(ESEC2012)」が開催された。本稿では、近々家電製品に搭載されるとみられる最先端技術や、身近に触れる機会のありそうな最新ソリューションなどを多数の写真を交えて紹介する。
災害時やスタジアムなど、局地的なワンセグ放送を実現
テクノマセマティカルのブースでは、局地的なワンセグ放送を実現する「エリアワンセグ配信システム」を展示していた。ワンセグ放送の空きチャンネル(ホワイトスペース)を利用して、エリア限定のワンセグ放送サービスを実現するというものだ。およそ10mWの出力で、半径500m〜1km程度の範囲に対してワンセグ放送を提供できる。
受信可能エリアが限られるため、例えば、市庁舎の屋上に設置したアンテナから周辺の住宅へ向けて災害関連放送を配信したり、スタジアムなどで観客だけが見られる特別放送を提供したり、あるいは、学校や会社のフロア単位で特定の放送サービスを提供したりといったことが可能になる。
展示会場では、WebカメラからPCに取り込んだ映像・音声を、H.264(映像)およびAAC(音声)でエンコードし、送信機からアンテナを経由してワンセグ受信機に送信するデモを行っていた。
総務省関東総合通信局は2012年5月1日、TBSテレビや森ビルなど4社に対し、10チャンネルのエリア放送地上一般放送局の予備免許を与えた。また、羽田空港の「羽田エリアワンセグサービス」なども、ホワイトスペース特区先行モデルとしてスタートしており、こうしたソリューションは今後さらなる発展が見込まれるだろう。
ネット非対応TVを“ネット化”するモジュール
アイティアクセスのブースでは、スマートTV関連ソリューションを展示していた。
特に注目したのは、スマートフォンやタブレット型端末、TV、レコーダー、STBなどに対応するACCESSのDLNAソリューション「NetFront Living Connect」だ。同ソリューションは、組み込み機器向けに最適化されており、OSやCPUに依存しない高い移植性が特長である。
展示会場では、ルネサス エレクトロニクスのシステムLSIを搭載した家電AVネットワーク規格「DLNA」および著作権保護技術「DTCP-IP」対応モジュールを、TVに接続してデモを行っていた。モジュール背面のUSB端子に市販のWi-Fiアダプターを接続し、TVのHDMI端子につなぐことで、LAN非対応(もしくはWi-Fi非対応)のTVでもネット接続ができるという。
ブラウザでWebサイトを閲覧できるだけでなく、YouTube動画の再生や、DLNA+DTCP-IPを利用することでレコーダーに録画した番組を再生するといったことも可能だ。
デモでは、ネットワーク対応HDD(NAS)に保存したコンテンツをスマートフォン/タブレット型端末で操作し、TVやスマートフォンで再生する機能を実現していた。また、搭載するWebブラウザはHTML5対応で、スマートフォンから簡単な操作やキーボード入力ができる他、音声認識を利用した文字入力もサポートしていた。
既に数社からの引き合いがあり、早ければ2012年中にも対応製品が登場するかもしれないという。数年前にネットワーク非対応の薄型TVを購入したユーザーにとっては、福音になるモジュールとなりそうだ。
その他、デジタル放送の視聴や録画、IPTV、DLNAによるホームネットワーク、HTML5対応Webブラウザ機能などを搭載するスマートTVソリューション、携帯電話機/スマートフォン向けに手ブレ補正機能を提供する画像処理ミドルウェアなども展示していた。
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