三菱自動車や哀川翔監督チームのEVレースカーが参戦、「パイクスピーク」が熱い:電気自動車
米国コロラド州で2012年7月に開催される自動車レース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」に、三菱自動車やトヨタ自動車、電気自動車普及協議会の電気自動車(EV)レースカーが参戦を表明している。
米国コロラド州で2012年7月3〜8日に開催される自動車レース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」に、国内企業の電気自動車(EV)レースカーが続々と参戦を表明している。EVの「i-MiEV」を展開する三菱自動車を筆頭に、トヨタ自動車のモータースポーツ子会社製の車両で参加するアールケイワン、電気自動車普及協議会(APEV)などが準備を進めている。
パイクスピークは、ロッキー山脈の東端にある標高4301mのパイクスピーク(Pikes Peak)を駆け上がるヒルクライムレースである。標高2862mから頂上まで、150個以上のコーナーがある約20kmのコースの走行タイムを競う。走行距離が比較的短いこともあってEVに最適な自動車レースの1つと言われている。実際に、EVだけを対象とするエレクトリッククラスもある。
今回参加する国内企業の狙いは、EVの高い技術力をアピールするとともに、EVレースカーの開発で得られた技術的ノウハウを、今後市販するEVの開発にフィードバックすることだ。EVシステムとエンジンの違いはあるものの、トヨタ自動車やホンダが「F1」レースに参戦した理由と基本的には同じである。
「i-MiEV」のレース専用車が登場
三菱自動車は、レース専用車の「i-MiEV Evolution」と北米向けのi-MiEVである「Mitsubishi i」の2台体制で参加する。パートナー企業は、i-MiEVの主要部品を供給している明電舎やGSユアサなど20社にのぼる。i-MiEV Evolutionのドライバーには、「ダカール・ラリー」で日本人初の2年連続総合優勝を果たした増岡浩氏をチーム監督兼務で起用。エレクトリッククラスでの優勝を目指す。
i-MiEV Evolutionは、パイクスピークに参戦するために新たに開発されたレース専用車である。外形寸法は全長4341×全幅1900×全高1399mm。パワートレインは、最高出力80kWのモーターをフロントに1個、リヤに2個搭載した電動四輪駆動システムとなっている。リチウムイオン電池パックは、i-MiEVと同じ電池セルを用いており総容量は42kWhである。ボディは、パイプフレーム製のシャシーと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のカウルにより、軽量化と空力性能の向上を図った。
アールケイワンが企画運営し、チーム監督を俳優の哀川翔氏が務める「Show Aikawa World Rally Team」は、トヨタ自動車のモータースポーツ子会社Toyota Motorsport(TMG)製のEVレースカー「TMG-EVP002」で参戦する。
TMG-EVP002の外形寸法は全長4100×全幅1790×全高1040mm。モーターは、英国企業のEVO ElectricがTMG向けにカスタマイズした軸方向磁束(Axial Flux)モーターを2個搭載している。車両全体の最高出力は350kW、最大トルクは900Nm、最高回転数は5000rpm。最高速度は、パイクスピークの規則に合わせて毎時240kmである。リチウムイオン電池パックは、セラミックセパレータを特徴とするドイツLi-TEC(EvonikとDaimlerのリチウムイオン電池合弁企業)製の電池セルを採用。総容量は42kWhとなっている。
APEVは、パートナー企業と結成する「Team APEV with モンスタースポーツ」で参加する。ドライバーは、APEVの代表幹事であり、タジマモーターコーポレーションの社長でもある田嶋伸博氏が務める。田嶋氏は、パイクスピークのアンリミテッド(改造無制限)クラスで2011年まで6連勝を果たしている。今回は初めてEVで参戦するものの、7連覇を目指すという。EVレースカーの「モンスタースポーツ E-RUNNER パイクスピークスペシャル」の詳細な仕様は不明。パートナー企業の三菱重工業がリチウムイオン電池を、住友ゴム工業がタイヤを、NTNが等速ジョイントを供給することなどは判明している。
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