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トヨタが新モデル移行時に設備コストを40%削減へ、2012年度末までに最新の生産技術を導入

トヨタ自動車は、最終組み立てラインの刷新など新たな生産技術の導入により、新モデル移行時の生産設備の投資コストを移行前と比べて40%削減することを目標としている。この他、車体ボディーの金属表面に絵や文字を鮮明に浮き上がらせる技術も開発中である。

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 トヨタ自動車は、車両の生産設備の投資コストを大幅に削減できる技術の導入を進めている。2012年度末(2013年3月)までに、車両のフルモデルチェンジなどの新モデル移行時に、生産設備の投資コストを移行前と比べて40%削減することを目標としている。生産技術の革新の他、車両のデザイン性を高める新たな加工技術も開発中である。

 導入中の生産技術としては、最終組み立てラインの刷新、クランクシャフトの鍛造技術、シリンダーブロックのダイカスト工程で使用する金型の軽量化などがある。

既存の最終組み立てライン
関東自動車工業の岩手工場(岩手県金ケ崎町)で製造している「アクア」の最終組み立てライン。従来は、この写真のように天井から車体フレームをつるすタイプのコンベヤーを使用していた。(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 まず、最終組み立てラインの刷新では、車体フレームに各種部品を組み付けていくムービングラインの仕組みを大幅に変更した。従来は、天井から車体フレームをつるすタイプのコンベヤーを使用していた(以下、つり式)が、新しい組み立てラインでは、床に設置した軌道(レール)を移動する台車の上に車体フレームを載せるようにした(以下、台車式)。台車式の最大の特徴は、台車の数や軌道の長さを変えることで、生産台数を柔軟に変更できることだ。

 この他、つり式では車両フレームの向きが固定されてしまうところを、台車式では向きを自由に変えられることもメリットになっている。また、つり式は、最終組み立てラインの天井を高く取らなければならないが、台車式はその必要がない。さらに、つり式は、車体フレームをつるすコンベヤーと連動して動くベルトコンベヤーを床に設置するためのピットを掘る必要があるが、台車式は不要である。

 台車式の最終組み立てラインは、元町工場(愛知県豊田市)やセントラル自動車の宮城工場(宮城県大衡村)、米国ミシシッピ工場などで既に導入されている。今後は、中国の長春やブラジルのサンパウロ州ソロカバ市で建設している新工場にも導入する方針である。

 クランクシャフトの鍛造技術では、打ち抜き加工時のバリ取りなどによって捨てられる材料の比率を、従来の30%から10%に削減した。鍛造前に、材料となる金属棒にねじれを加えることで実現した。ねじれの加え方については、熟練技術者が考案した最適なねじれの状態を解析して、機械を使ったねじれ加工プロセスとして再現できるようにした。「匠の技能と解析技術を融合した」(トヨタ自動車の広報担当者)技術だという。2012年夏の導入を予定している。

 シリンダーブロックのダイカスト工程では、金型の重量を29トンから5トンに減らした。金型を製造する際に、溶けたアルミニウムを注入する圧力を減らすなどした。金型の軽量化により、金型の製造コストと金型の交換作業にかかる時間をそれぞれ70%削減できる。また、金型の一部を交換するなどして、異なるエンジンのシリンダーブロックの製造にも流用できるようになった。

 新たな加工技術としては、車体ボディーの金属表面に絵や文字を鮮明に浮き上がらせる技術を開発中である。従来のプレス加工技術を用いると、絵や文字の周辺にしわができるなどの問題があったが、新技術を使うと4〜5mmの太さで絵や文字を浮き上がらせることが可能だ。なお、この新技術の詳細は公開されていない。

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