シャープ自らがメガソーラー建設、国内5カ所に:スマートグリッド
メガソーラー建設の勢いが止まらない。北海道から沖縄まで日本全国に立地が広がっている。固定買取制度をにらみ、従来の電力会社から、民間に事業主体も変わってきた。2012年3月、とうとう太陽電池メーカー自らが建設に乗り出す。シャープは国内5カ所に合計33MWを見込む。
2012年7月1日に施行される「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)。3月6日には第1回の調達価格等算定委員会が開催され、いよいよ買い取り価格や買い取り期間の議論が始まった。7月施行をにらんで民間企業がメガソーラー(大規模太陽光発電所)に熱い視線を向けている。
ここにきて、とうとう太陽電池メーカー自らがメガソーラー建設に乗り出した。シャープである。シャープは北海道、栃木県、大阪府の合計5カ所に最大33MWの建設を進めようとしている。「当社がメガソーラー用途を狙う薄膜Si(シリコン)太陽電池は、高温特性が良く、地中海以南などのサンベルトでの利用を狙っている。国内については立地にもよるが結晶Si太陽電池を使う方向だ」(シャープ)。
栃木から始まる
計画が最も進んでいるのは栃木県のプロジェクト*1)だ。栃木県は2012年3月8日に県有地を使った「とちぎサンシャイン」プロジェクトに3社を選定したと発表。4カ所の立地が決まった。うち1社がシャープである*2)。栃木県矢板市の土地(6.8ha)に2MWのメガソーラー建設を予定する。「2012年7月に着工し、秋には営業運転を開始したい」(シャープ)。
*1) 栃木県は2005年時点の29MWという県内の太陽光発電容量を、2020年には20倍の580MWに拡大する計画を打ち出している。「メガソーラー事業候補地57カ所を公開しているが、全て立地したとしてもメガソーラーだけでは達成できない。住宅の屋根、事業所の屋根、メガソーラーの3本柱で実現する」(栃木県)。
*2)他2社は栃木県の電設関連の企業である藤井産業と、ソフトバンクの関連会社であるSBソーラーだ。藤井産業は栃木県鹿沼市と栃木県大田原市の合計3カ所(合計10.9ha)に建設する。SBエナジーは矢板市に約2MW(8.6ha)を建設する。
次は北海道と大阪
北海道では2カ所でメガソーラーを展開する計画だ。「北見市と湧別町に市有地(2ha)、町有地(2ha)の土地借用要望書を提出しており、自治体側も前向きに検討していただいていると聞いている」(シャープ)。発電容量はそれぞれ1.5MWだ。
4番目と5番目のメガソーラーは、自社工場が立地する堺市を予定している。容量10MWと18MWを狙う。「2008年に関西電力と共同で堺市の2カ所に建設する計画を発表している。既に予定時期を過ぎているが、計画自体は変わっていない。2012年7月を見据えて検討中である」(シャープ)。
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