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無償のAutodesk 123Dで伊予鉄の模型を作ろう3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(9)(3/3 ページ)

今回は、無償の3次元CAD「Autodesk 123D」で伊予鉄道のNゲージをモデリング。もちろん3次元プリンタで出力可能だ。

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側面の要素をモデリングする

 さて、長さが本来のものになったところで、サイドのドアや窓を作り込んでいきます。ここで使用するのは、やはりスケッチとExtrudeですが、窓とドアの組み合わせは基本的にはパターンで定義することができるので、「Pattern」の機能を使用して作成します。この場合は直線的なパターンなので「Rectangular Pattern」を使用します。ドアを作り込むとこんな感じになります。

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 なお、通常のCADを使用している人にとっては少々面倒に感じるのは、「フィーチャー単位で選択する」という概念がなく、窓やドアを構成している面を選択するので、手数が多くなってしまいます。パターンなどを使用するときには注意が必要です。

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 ここで、全体をミラー反転機能でコピーします。ミラー反転のオプションでは、「New Component」と「Join」がありますが、ここでは「反転したものと一体にする」ので、Joinを選択します。

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 これで、さらに電車らしくなりました。ここまでくればあと一息……。車両の後ろ側と、屋根まわりの形状を作るのみです。

後部をモデリングする

 車両の後ろ側は比較的簡単です。手順としては、まず車両の最後部の面を選択して作業平面を作成します。そこから車両の後ろをふさぐための厚さ1.5mm(あるいは任意)の壁を作成します。その上で、電車の正面の顔の部分同様に通路部分と窓を開けるための、スケッチを描き、そのスケッチをExtrudeすればOKです。これで車両の後ろ側が完成しました。

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屋根をモデリングする

 次に屋根の作成に移ります。屋根の上にあるレールのような形状については、Sweep(スイープ)を使って作成します。スイープの作成には、スイープのための断面と断面を動かすパス(軌道)が必要となります。

 屋根の上面に以下のような形でパスとなる軌道をスケッチします。

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 このスケッチには、屋根の少し上に作業平面が用意されていればよいのですが、ここで1つポイントとなるのが、このパスはあくまでも「作業平面上にある」のであって「屋根の上にはない」ということです。このパスを屋根の上に投影したいところですが、123Dでは、カーブを曲面上に投影する機能がありません。そこでワークアラウンド(応急処置)ですが、カーブを基にソリッドを分割することは可能です。分割の機能は、「Create」の中に「Split」という名前で用意されています。後は、このパスに垂直な平面に円形の断面を描き、「Sweep」(スイープ:掃引)コマンドを実行すると、下記のように屋根に沿った“レールのような”形状が作成されます。

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 屋根の上で目立つものと言えば、エアコンの室外機です。室外機は別ファイルとして作成します。後ほどAssemble(組み立て)の機能で屋根の上に取り付けます。室外機の箱は比較的簡単な形状ですが、テーパーがついています。テーパーについては、Extrudeをする際に、必要ならインタラクティブに角度を付けることができるので、その機能を活用します。ここでは5度のテーパーを付けました。ファンが入る穴は室外機の上面にドーナツ状になるように円をスケッチして、押し出します。

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 最後にファンを作成します。これはファンの1枚を横から見た断面をスケッチし、これを押し出して作成します。

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 今度は、円周上にファンをコピーする、「Circular Patter」(円形パターン)で作成可能です。これで室外機もほぼ完成しました。ほかにも室外機の横に細かい突起や、乗務員用のドアやらもう少し作り込まなければいけないものがあるのですが、ここも同様な作業になるので省略します。

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 最後に室外機を屋根に取り付けます。取り付けにはAssemble機能を使用します。

 まず、画面左側のブラウザのツリーで「Browser」と書かれているところを、マウスで右クリックすると、「Insert Component」(部品の挿入)というメニューが出てきますので、これで先ほど作成した室外機のファイルを選択します。位置決めについては、「Design Intent」というコマンドメニューの中に「Assemble」というコマンドがあるので、それを選択して拘束をかけながら場所を指定します。

 最後に少し前にも使用したRectangular Patternを使用して、もう2つ室外機をコピーして形状が完成!

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ついでに着色する

 ついでに色を着けてみましょう。残念ながら任意の画像をテクスチャとしてサーフェスに貼り付けることはできないようですが、面を選択して色を変えることはできるので、ここは好きなものを選択しましょう。これは、任意の面を選んでマウスの右ボタンをクリックすると、「Material」(素材)というメニューが出てくるので、さらに「Visual」を選びます。

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3次元プリンタで出力する

 これを3次元プリンタで出力したい? ――問題ありません。STLで保存しましょう。また、123Dのネイティブ形式だけでなく、DWG、DXF、SAT、IGES、STEP、SATなどで出力できるので、他のCADで使用したいという場合でも、データのやりとりは可能です。

 ということで、Nゲージの“マイ模型電車”ができました。

 記事の関係上細かいところは端折りましたが、ご興味のある方は、今後3D-GANで開催する講習会にもぜひいらしてください。まだ、あまり3次元モデリングを自分ではやっていないという方でも大丈夫です。一緒に楽しみましょう。

筆者より:書籍出版のお知らせ

 2012年2月23日、私の4冊目の本が出版されました。タイトルは『この部品はこうやって解析する! SolidWorksでできる設計者CAE』(日刊工業新聞社)です。誤解を恐れずに言えば、“解析らしからぬ解析の本”です。解析の本だというのに、メッシュの絵はほぼ皆無です。解析用語はある程度使っていますが、かなり意図的に解析の本っぽくないように仕上げました。

 私も、一応は非線形解析ソフトのMARCに5年ほど携わるなど、それなりにCAEのバックグラウンドはあるつもりなので、逆に今回の本の組み立て方はすごく勇気がいりました。しかし、解析そのものについて分かりやすく書いている良書は既にたくさんあるため、それよりも純粋に3次元CADでモデリングをしている人たちの「とっ掛かり」になるものをという思いで書いていました。

 というわけで、次回はカジュアルな電卓代わり感覚の「解析」について書く予定です。もちろん、私の身近な題材につなげて……。



Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。首都圏産業活性化協会(TAMA協会)コーディネータ。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わったほか、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開しているほか、マーケティングやIT導入のコンサルティングを行っている。著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)がある。



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