悪夢のような“製販調整会議”を何とかしたい! って思うことありませんか?:S&OPプロセス導入 現場の本音とヒント(1)(2/3 ページ)
生産計画グループのSさんは、月に1度のエンドレス会議で心の芯がいまにも折れそう。利害の衝突、声の大きさ……、理不尽な会議を解消するために必要なこととは?
……で、三つどもえのつな引きの結末は?
営業は顧客の都合、需要予測の難しさと製品ミックスが変ったことを理由にする。
需要予測が当たらないのは公然の事実となっており、需要精度の検証は行われず、この問題が良くなる気配は見えない。
うがった見方をすれば、在庫責任を顧客や外部の要因にすることで、社内の誰かに責任が及ばないようにする仕組みが確立したのかもしれない。
しかし現実的には顧客の要求から製品の数が増え、仕様が複雑になり、経済が不透明な状況になった現在、会社が生き残っていくためにもこの無責任体質を何とかしたい。
営業担当が「製販調整会議」で交渉を突破できず供給ができなくなれば顧客は自衛のために競合の製品を買い、当社は信用とシェアを失う。
さすがにこのような状況になれば担当者は管理者へ上申して最悪の事態を防ぐことを考える。
このような火が着いてしまったオーダーの処理は大きな手戻りになるばかりでなく、別の犠牲者を出して「製販調整会議」をさらに負のスパイラルに落とし込んで行く。
製品ライフサイクル上の問題
製品の終了や新製品のリリース時期には別の問題が出てくる。例えば新製品の量産試作やリリース前の積み増しをどのタイミングにどのくらいの優先順位で入れるのか? とにかく目の前の販売量を確保することが最優先の状態では新製品投入にめどが付かない。残念ながらそれを経営陣に判断してもらうオフィシャルな仕組みもない。
また、逆に需要が弱くなった状態で工場の生産を止めるのか、戦略的に在庫を作るのかの大英断などできるハズもない。
工場が目指す主要な指標は単位当たりコストを下げること。つまり工場の容量いっぱいまで効率よく動かすことだから需要の真の確度にかかわらず作るものがあればどんどん生産する。売れない製品在庫が積み上がる。
毎年期末に痛みとともに在庫処分をすることになるが、何の知恵も教訓も得られていない。
いろいろな課題を抱えながら目先の販売数量と納期を守るため、来月の生産計画を作り工場を回すため、「製販調整会議」は迷走する台風のように混沌としながらも大きなエネルギーを振りまきながら通り過ぎて行く。
Sさんの会社の製販調整会議が抱える課題:まとめ
ここで当社の「製販調整会議」の課題を整理してみよう。
1.担当者が全体を見ず、個別製品の納期厳守のために行う
2.直近の製造と調達の順序を考慮して計画を作る
3.担当者間の調整に終始し責任の所在がはっきりしない
4.目先の対応が優先され新製品の投入や撤退などの調整が難しい
5.優先順位が会社にとってベストなものなのか検証されない
6.需要予測の精度、不良在庫の理由については曖昧にされ検証されない
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