適用の機は熟した“7シリーズ”――そして深化を見せる既存ソリューション:「TED プログラマブル ソリューション 2012」レポート(2/3 ページ)
東京エレクトロン デバイスは2012年2月10日、東京・品川で恒例のカンファレンス「TED プログラマブル ソリューション」を開催。展示会場では、パートナー各社とともに“Xilinx 7シリーズ”などに基づく最新のFPGAソリューションの数々を披露した。
専用チップ、IPコアで「USB 3.0」訴求
もう1つ来場者の関心を集めていたのが「USB 3.0」のコーナーである。TEDは米サイプレスと共同開発した初のUSB 3.0対応FMC製品「TB-FMCL-USB30」を展示し、ユーザーのUSB 3.0デバイス開発を支援できる体制が整ってきたことをアピールしていた。
TB-FMCL-USB30はサイプレスが開発したUSB 3.0デバイスコントローラの専用チップ「EZ-USB FX3(以下、FX3)」を搭載し、FX3に備わるプログラマブルI/Oインタフェース「GPIF II(General Programmable interface II)」を介してFPGA搭載のマザーボードと接続する。
デモでは同カードの実効速度が示されていたが、シーケンシャルのリード・ライトとも200Mバイト/s前後だった。FX3はカタログで「実効値で400Mバイト/sでのデータ転送が可能」としている。TEDの説明員によれば、「現状はPC側のUSBコントローラがボトルネックになる。インテルが純正品を開発するなどしてボトルネック部分が改善されたら転送速度は増す」という。
同じ会場でサイプレスもFX3による720p HD映像の非圧縮ストリーミングをデモしていた。インタフェースであるGPIF IIがUSB Video Classを完全実装するFX3の利点を生かしたものだ。「USB 3.0向けIPコアは数々出ているが、実装するのはなかなか難しいと聞いている。そこで専用チップの意義が出てくる」(サイプレスの説明員)。
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一方、USB 3.0ホスト・デバイスコントローラ向けIPコア「USB3.0-IPコア」を訴求していた企業はデザイン・ゲートウェイだ。同IPコアはリンクレイヤー、プロトコルレイヤーを含み、テキサス・インスツルメンツ製PHYチップと組み合わせることでUSB 3.0インタフェースを実現できる。
会場では、ザイリンクスの現行ミッドレンジFPGA「Spartan-6」(SP605 評価キット)に同IPコアをそれぞれ実装したホストとデバイスを接続し、データ転送のデモを行っていた。“FPGA to FPGA”ということもあり、シーケンシャルのリード・ライトで実効速度は400MB/s弱。また、3Gb/s SATAインタフェースのインテル製SDDドライブとUSBブリッジで接続した場合でも約270MB/sとスペックに近い実効速度が出ていた。
デザイン・ゲートウェイの説明員は「USB 3.0の高速性を追求するならIPコア、手軽さを求めるなら専用チップと、ユーザーの選択は自然に分かれてくるのではないか」と、高速性のメリットを強調していた。
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