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より多くの電力を得るには――変換効率だけではない太陽電池小寺信良のEnergy Future(14)(3/5 ページ)

太陽光発電で大量の電力を得る方法は複数ある。太陽電池自体の変換効率を高める技術開発はもちろん重要だが、併せて太陽の光をよりたくさん得る努力が欠かせない。今回は「日射量」や太陽電池以外の周辺技術に焦点を当ててみよう。

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光を集めて効率アップ

 小さくても高効率の太陽電池を使い、そこにレンズなどを使って光を集めるという考え方もある。集光型と呼ばれる方式だ*7)。PVJapan 2011に出展していたNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のブースで展示されていたほか、つくば市の産業技術総合研究所で稼働中の本物を見学することができた(図2図3)。

*7) レンズを用いた技術は国内では大同特殊綱が取り組んでいる。愛知県常滑市で2009年3月から30kWのシステムを設置して実証試験を続けている他、数カ所に設置済みだ。2011年度中にシステムの生産規模を既存の1.5MWから5MWまで高める計画だ。JFEエンジニアリングと三鷹光器は共同で、レンズを使わず、300枚の鏡を用いてタワーの頂上にある太陽電池に集光する技術の開発に取り組んでおり、2011年8月には集光倍率700倍のシステムの技術開発に成功している。


図2 集光型太陽光発電設備 産業技術総合研究所(つくば市)で実験稼働中の装置である。

図3 装置の背面の様子 側面に付いている(図上に拡大)円筒形の構造は太陽を追尾(トラッキング)するためのセンサー。

 集光型に使うレンズは、カメラのレンズのようなものではなく、ポリカーボネート製で簡単に一体成形できるようなもの(図4)。同心円状に筋の入った、いわゆるフレネルレンズと呼ばれるものだ(図5)。フレネルレンズは、平らなカード型のルーペなどで一般に広く応用されており、比較的安価に製造できる。


図4 レンズを拡大したところ 一体成形のフレネルレンズが16個×16個並んでいる。

図5 レンズと太陽電池セルの関係 レンズ断面は、同心円状の筋が形成されており、レンズの中心直下に太陽電池セルが配置されている。

 屋根置き用の太陽電池セルは例えば15cm角程度の寸法だが、集光型に使用される太陽電池セルは、ほぼ1cm角の小型のものだ。ただし、通常のセルと比べて変換効率が2〜3倍高い。

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