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出張先でも、いつも使っている設定で作業できる――AutoCAD 2013オートデスクの新製品発表会

AutoCAD 2013はオートデスクのクラウド型サービスと密接に連携する。自社のPCで使っている設定をクラウド上に保存しておけば、出張先で借りたPCのAutoCADでも利用できる。

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 オートデスクは2012年2月16日、同社の新設計システム「AutoCAD 2013」を発表した。出荷開始予定は、同年3月16日(日米同時)。同製品では、同社の提供するクラウド型サービスとの直接連携に対応した。

 オートデスクが提供するクラウド型サービス「Autodesk Cloud」(後述)は、同社のサブスクリプション製品の付加価値を高めることを目的としたサービスだった。今回の製品ではそれをAutoCAD製品群のコラボレーション環境のための基盤とした。AutoCAD 2013(AutoCAD 2013およびAutoCAD LT 2013)は、Autodesk Cloudに常時接続できる。

 図面データをデスクトップ上のAutoCADで編集し保存した際には、それをクラウド上の図面データと同期することが可能だ。データの同期をするかしないかは、ユーザー側が任意で設定できる。

 クラウド上には、オプションやカスタマイズ、キーボードショートカット、図面テンプレートファイル、印刷などの設定情報を保管できる。出張先のPCを利用する際にも、AutoCADからAutodesk Cloudにログインすることにより、自分のカスタムした設定をダウンロード可能だ。

 クラウド連携の機能ではないが、今回から登場する「Language Pack」は、サブスクリプションユーザーに特典として配布され、Windowsのように、複数の言語の選択を可能とした。上記の設定保存機能と併せて使えば、海外から出張してきたエンジニアを受け入れる際にも便利だと同社は説明する。

 AutoCAD 2013では、演算処理の大きな負荷が掛かるレンダリングをクラウド上で処理させることで、作業時間を大幅削減できるという。同社の検証によれば、デスクトップ上で1時間18分かかった処理が、クラウド上で処理させることで16分30秒ほどに縮まったということだ。AutoCAD 2013(AutoCAD LT 2013は非対応)については、クラウド上のレンダリングサービスを統合し、CADのドラフティングモードの中でもレンダリング処理可能だ。

 現在は無償アプリケーションの「AutoCAD WS Mobile」の新機能も開発中。米Hewlett-Packard(HP)が展開する「ePrint Cloud Service」への対応、への対応、3次元モデルデータ表示、GPS連動機能など。リリース時期は未定とのことだ。


「AutoCAD WS Mobile」の次期アップデート版デモ:3次元データ表示

クラウド環境のメリット

 クラウドを利用した設計環境のメリットとしては、以下を挙げた。

  • いつでも、どこからでも図面や設計書にアクセスできること
  • スマートフォン、タブレットなどのモバイルデバイスの活用が可能
  • 印刷出力した図面の持ち出しが不要。あるいは紙図面の大幅削減
  • 複数の設計者間で図面の共有やオンラインコラボレーションが可能であること

 オートデスクによれば、多くのAutoCADユーザーは「クラウド」という仕組みというよりも、「モバイルから3次元データが利用できる」ということに注目しているとのこと。

 オートデスクが開催したAutoCADユーザー向けのセミナーで会場アンケートを取ったところ、「モバイルで3次元データを扱えるようにするべき」という回答が54%だったという(東京と大阪で開催。アンケート回収数83)。

Autodesk Cloudとは

 今回の発表会で、Autodesk Cloudについて分かりやすい図が紹介された。


Autodesk Cloudの概要

 Autodesk Cloudは個別の製品名ではなく、「複数のサービスで構成されるクラウドサービスの総称」。AutoCAD WSもこのサービス群に含まれる。利用可能なストレージ領域は、同社のサブスクリプション加入ユーザーについては3Gバイト、未加入ユーザーについては1Gバイトを無償提供する。また、サブスクリプションユーザーのみが対象のサービスもある。

CAD関連の機能強化

 AutoCAD 2013は上記のようなクラウド連携機能以外にも、幾つかの機能改善をしている。3次元ダイレクトモデラー「Inventor Fusion」(Fusion)の連携機能では、データの相互互換性を高めた。ブロック参照内のソリッドを分解せずにFusionで編集可能となった。

 また2013 DWG/DXF形式を採用。ファイルサイズを低減して、クロスプラットフォーム対応となった。図面内のサムネイルプレビュー画像の形式を変更し、3次元グラフィックスキャッシュも採用した。

AutoCAD 2013のみの機能(AutoCAD LT 2013には対応しない)

 従来のAutoCADでは、他システムからインポートした3次元データを基にDWGを作成する際、3面図に展開するまでしかできなかったが、新製品では断面図と詳細図を作成可能にした。

 また、スキャナーの点群データサポートも強化。従来もサポートしていたFaroに加え、Leica、Topconのデータにも対応した。


AutoCAD 2013の作図デモ:断面図と詳細図を作成

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