「ETロボコン2012」概要発表――今年は原点回帰がキーメッセージだ!!:初心者がより参加しやすい内容に(2/2 ページ)
ETロボコン実行委員会は2012年大会に向けた記者説明会を開催した。回を追うごとに参加者のレベルもアップし、ロボットコンテストとして盛り上がりを見せる「ETロボコン」だが、今年は「原点に戻ったETロボコンを目指す」という。その真意とは?
スピード勝負と難所攻め、2ステージ制は継続か?
それでは、部門ごとの変化を見ていこう。
まず、競技部門だが、「基本的な競技内容は2011年をベースに継続する方向で考えている。スピードを競うベーシックステージと、難所を攻略するボーナスステージの2ステージ制も継続するだろう」(ETロボコン実行委員会 東海地区実行委員長 曽根卓朗氏)とのことだ。もちろん、難所の変更はあるかもしれないが、2ステージ制についてはそのままと考えてよさそうだ。また、2011年大会から解禁された任意の機器とのBluetooth通信だが、これについては「近年の組み込み機器を考えると何らかの通信機能を持っているのが当たり前になってきている。これを踏まえると今年はBluetoothを用いた通信機能の実装は必須にするかもしれない」(曽根氏)という。聞くところによると2011年大会ではBluetoothを活用した目新しい機能は出てこなかったようなので、このあたりをどうシステムに組み込んで活用するかもポイントになりそうだ。
また、同じく2011年大会で完全自律停止状態を実現すべく追加された「尻尾」が面白い結果をもたらした。「何と、尻尾を下した3点接地状態で走行するチームが現れた。しかも、それが非常に速いから驚きだった。この走行は、規定違反にはならないので禁止にするつもりはない。このような想定外は大歓迎! ただ、二輪倒立振子制御をなくすことはしない。二輪倒立振子制御が必要な難所やエリアを設定するなども検討している」(曽根氏)。なお、現段階で走行体の形状を大きく変更する考えはないようだ。
開発環境についてはこれまでのものに加え、初級者の参加のしやすさなどを考慮し、「軽量Rubyを走行体の開発環境として使えるよう進めている」(小林氏)とのことだ。ただ、あくまでも“推進中”ということで2012年大会に間に合うかどうかは現段階では不明だ。
複雑化が進むモデル審査は? オープンな審査へシフト
一方のモデル部門ではどんな取り組みを考えているのだろうか。2011年大会のアンケート結果から「審査結果の公開やより多くのフィードバックを希望する意見が数多く寄せられた。また、審査の内容や初心者向けの技術教育の要望があった」(ETロボコン実行委員会 本部審査委員長 渡辺博之氏)という。加えて、参加チームの増加、モデル密度の増加に伴い、モデル審査にかかる時間が年々増大している点も課題として挙げる。モデル密度の増加については、過去の優勝チームのモデルと2011年大会のモデルを比較すると一目瞭然だ。こうした傾向にある現在、より細かなフィードバックや審査内容の追加を行うのは困難だといえる。
そこで、2012年大会ではこうした課題の中から大きく2つのチャレンジをする計画だという。1つが「全員参加の『いいね!』型モデル審査」、もう1つが「モデリング初心者にフォーカスした教育」だ。
全員参加の「いいね!」型モデル審査は、審査員だけがモデル審査をするのではなく、参加チームも審査に参加することで公平感・納得感を高めようというものだ。また、「審査員それぞれの評価や一押しモデルをオープンにし、審査員の『顔が見える』審査を目指したい」(渡辺氏)という。まずはチャンピオンシップ大会からの導入を目指して準備を進めていくとのことだ。
一方のモデリング初心者にフォーカスした教育は、これまでのような初心者から経験者までを広くカバーする内容だけではなく、「まずは『モデリング』の価値を実感してもらうことを重視する。モデルを『作る』ことよりも先に、モデルを『使う』ことでその重要性を感じてもらえるような教育内容を整備する方針だ」(渡辺氏)。このあたりの配慮は、ETロボコンの原点を意識した取り組みといえるのではないだろうか。「モデルを作る=(イコール)大変・ツライ」ではなく、そもそもの「便利さ・楽さ」を認識してもらうというアプローチだ。
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