Intel Atom E600＋Androidで組み込み機器開発の課題を解消：ターボシステムズ、Android BSP無償提供

ターボシステムズは、インテルの組み込み機器向けプロセッサ Atom E600シリーズ用のAndroid BSP「Android BSP for Intel Atom Processor E600 Series」の無償提供を開始。併せて、イノテック製の組み込みCPUモジュール「TX-70」と専用キャリアボードを組み合わせた評価キットの販売も行う。

[八木沢篤，＠IT MONOist]

　ターボシステムズは2012年2月2日、インテルの組み込み機器向けプロセッサ Atom E600シリーズ用のAndroid BSP（Board Support Package）「Android BSP for Intel Atom Processor E600 Series」およびユーザーガイドを同社Webサイトに公開。全世界に向けて無償提供を開始した（要ユーザー登録）。

　同BSPは、Atom E600シリーズを搭載したターゲットボード上で、Androidを動作させるためのソフトウェアコンポーネントで、組み込み機器での利用にフォーカスしたものとなる。Android 2.3.4（GingerBread）の他、周辺機器やセンサー用のドライバなどを含めた、標準化された組み込みプラットフォームとして利用できるという。また、今回の発表に併せ、同社はイノテック製の組み込みCPUモジュール「TX-70」と専用キャリアボード「T73（Intel EG20T PCH搭載）」を組み合わせたリファレンスボードに、同BSPを搭載した評価キットを用意、提供を開始する（オープン価格）。他にも、同社Webサイト内に開発者向けの情報掲示板「Android BSP FORUM」なども開設している。

「Android BSP for Intel Atom Processor E600 Series」のWebサイト

　Androidを組み込み機器に適用しようとする動きは以前からあった。そこには、組み込みシステムの高機能・多機能化と、短納期・低コスト化という大きな課題を解決する救世主としての期待があるからだ。ライセンスフリーで、豊富なI/OやAPIがあらかじめ用意されている標準化されたソフトウェアプラットフォームとして、Androidは非常に魅力的だ。そこに、近年、組み込み分野でも要求されるような高度な処理に耐え得るハードウェア（CPU）として、インテルアーキテクチャ（以下、IA）を組み合わせ、リッチなUIやマルチメディア機能を必要とする組み込み機器（デジタルサイネージ、車載インフォテインメントなど）に展開しようというのが同社、そしてインテルの考えだ。

イノテック製の組み込みCPUモジュール「TX-70」と専用キャリアボード「T73（Intel EG20T PCH搭載）」

　これまでもIAにAndroidを移植する取り組みは非公式のコミュニティーなどでも行われてきたが（参考記事）、今回のBSPはインテルの公式サポートにより開発されたものとなる。「せっかくならIceCreamSandwich（Android 4.x）でやればいいのに」という声も聞こえてきそうだが、組み込み用途ということで、今回は、現在広く普及し比較的安定しているAndroid 2.3.4を採用しているとのことだ。

　今回の取り組み、そして、昨年（2011年）、Googleがインテルの開発者会議「IDF 2011」の中でAndroidのAtom対応を発表（参考記事）したことも考えると、IA＋Androidの組み合わせを採用したスマートフォンやタブレットの登場とさほど変わらぬタイミングで、IA＋Androidを搭載した組み込み機器が登場するかもしれない。

リファレンスボードによるデモ。ICカードリーダーでSuicaの情報を読み取り、購入履歴の閲覧やGoogle Mapsと連動した経路表示を実演（ディスプレイはマルチタッチディスプレイを使用）。その他、高解像度の画像もスムーズに表示・閲覧できた

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