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プリウス以上の車を作るには環境技術 記事ランキング(4)(1/3 ページ)

@IT MONOist 環境技術フォーラムでアクセスが多かった記事を隔週で紹介します。今回の集計対象期間は、2011年12月26日〜2012年1月15日です。

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プリウス以上の車を作るには
車の原点、T型フォード

 「環境技術 記事ランキング」では、@MONOist 環境技術フォーラムでアクセスが多かった記事を隔週で紹介しています。今回の集計対象期間は、年末年始を挟み、2011年12月26日〜2012年1月15日です。ランキングは本記事の3ページ目に示しました。

 今回はトヨタ自動車(トヨタ)のハイブリッド車(HV)「アクア」の記事が1位でした(プリウス上回るハイブリッド車「アクア」、トヨタが発売図1)。


図1 トヨタ自動車のハイブリッド車「アクア」 価格は169万円から。

 以下では、記事で触れていないアクアのコンセプトについて紹介しましょう。

 日本自動車販売協会連合会が2012年1月11日に発表した新車乗用車販売台数ランキングでは、軽自動車を含むランキングでトヨタのHV「プリウス」が3年連続、首位になりました*1)

*1) 東日本大震災後の部品供給不足などのため、台数(25万2528台)は2010年比で20%減となった。

 アクアはプリウスと同じHV。しかも利用しているHV技術はほとんど同じです。ガソリン1L当たりのアクアの走行距離は35.4km(JC08モード)。これはプリウスの32.6km(同)よりも高い数字。なぜアクアの名称に「プリウス」を付けなかったのでしょうか*2)

*2) アクアの北米モデルは「Prius c」、欧州モデルは「Yaris Hybrid」という名称で販売する。

HVとしてではなく、優れたコンパクトカーを作ることが重要

 トヨタ自動車 製品企画本部ZF主幹の田中誠氏によれば、次のような狙いがあります。「プリウスはどちらかというと年配の方に支持されていて、若い方や女性にはそもそも買いたい車として見られていません」(田中氏)。トヨタはHV技術を今後さまざまな車に展開していく計画です。しかしHVを前面に打ち出さない方がよい場合があるということ。プリウスとはブランドを分けて、魅力的なコンパクトカーを作り、裏方でHV技術を使うという手法です。

 「コンパクトカーは車体が小さいので、車内スペースを十分に確保することが重要。さらにコンパクトカーのユーザーは経済性を重視するので、燃費が良くなければならない。乗り心地も重視する。このようなコンパクトカーを実現し、ユーザーにはたまたまハイブリッドシステムが付いていますという程度にしか、HVを意識させないようにしました」(田中氏)。

 このような発想は徹底しています。プリウスの特長の1つは、シフトレバーに使い勝手の良い電気式を採用したこと。しかしアクアではわざわざ電気式ではなく、普通のゲート式を使っています(図2)。一般に普及している車と似せることで、HVの違和感を減らすための工夫だといいます。

 広く受け入れられるコンパクトカー作りが先にあって、それを実現する技術としてハイブリッドシステムがあるという発想です。


図2 アクアのシフトレバー プリウスα(右上)のような電気式ではなく、多数の車が採用するゲート式を採用した。ユーザーに違和感を与えないための取り組みだ。

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