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GMが「ボルト」の無償修理へ、電池には異常なし:電気自動車(1/2 ページ)
公的機関による衝突試験の結果、General Motors(GM)のEV「Chevrolet Volt」に異常が見つかった。試験後に電気的な火災が発生したというものだ。ボルトは新生GMを象徴するクルマ。同社の対応は素早く、安全補強対策を無償で実施する対策を打ち出した。
米General Motors(GM)は、2012年1月5日(米国時間)、電気自動車(EV)「Chevrolet Volt」(以下、ボルト)を無償修理し、安全補強対策を施すと発表した(図1)。
ボルトは衝突試験の後、数日から数週間放置すると電気的な原因による発火が起きることが分かっていた。そこで、車体構造と二次電池(バッテリー)の冷却システムを改修する。
図1 GMの「シボレーボルト」 車長4500mm、5ドアのハッチバック車。リチウムイオン二次電池の容量は16kWh。ボルトはプラグインハイブリッド車の一種である。ボルトでは、車軸へ回転力を伝えるのは常にモーターだ。電力源は2つあり、1つが二次電池(バッテリー)、もう1つがガソリンエンジンと接続した発電機だ。このような発電システムを一般にレンジエクステンダーと呼ぶ(シリーズ式プラグインハイブリッド車とも呼ばれる)。国内メーカーではスズキが同様の手法を採る。出典:GM
事の発端は、米運輸省の1部門であるNational Highway Traffic Safety Administration(NHTSA、国家道路交通安全局)が2011年11月25日に公開した衝突試験の予備評価である。実験室でバッテリーパックに対して過酷な衝突テストを実行したところ、6日後に電気的な発火が起こった。そもそもNHTSAのこの実験は、2011年5月にバッテリー冷却システムからの冷却水漏れが起きたテストを再現するものだった。冷却水漏れだけでなく、火災の危険性が明らかになったことになる。
NHTSAの実験結果を受けたGMの改修策は3点ある。
- 側面衝突からバッテリーパックを保護するための車体構造強化(図2、図3)
- バッテリー冷却水の水位をモニターするセンサーを冷却水タンクに追加(図4)
- 冷却水の入れ過ぎを防ぐために、冷却水タンクに開封防止用ブラケットを追加
図2 車体構造強化の手法 側面衝突のエネルギーを分散させることが改修の目的だ。画面奥から手前に伸びるバッテリーを取り囲む安全かごの役割を果たすトンネル構造と、衝突エネルギーを伝達する部品からなる。出典:GM
これらの改修を加えたボルトを使って、2011年12月9〜21日の期間、GM社内で衝突試験を4回実施したところ、バッテリーパック内部への異物混入や冷却液漏出は起こらなかったという。
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