「第42回東京モーターショー」(2011年12月3〜11日、東京ビッグサイト)では、国内の自動車メーカーやティア1サプライヤを中心にコンセプトカーや最新技術が数多く展示されている。ここでは、自動車の将来像をイメージして開発されたコンセプトカーや、ティア1サプライヤの電動技術を中心にリポートする。
未来の自動車が一堂に
国内最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車は、電気自動車(EV)の「FT-EV III」や「Fun-Vii」、プラグインハイブリッド車(PHEV)「Prius Plug-in Hybrid」、ハイブリッド車(HEV)「AQUA」、燃料電池車(FCV)「FCV-R」などの電動自動車をはじめ6台のコンセプトカーを出展した。中でも最もインパクトが大きかったのが、「20XX年の未来を具現化した」というFun-Viiである(図1)。内外装がディスプレイになっているので、ボディの色や柄、インテリア表示などを自由に変更できる。また、車載情報機器だけでなく、走る/曲がる/止まるを統括する制御系ECU(電子制御ユニット)のソフトウェアをネットワーク経由で常に最新版に保つネットワークアップデート機能を搭載している。この機能は、同社が車載ネットワークへの導入を検討しているイーサネットを使って、各ECUにIP(Internet Protocol)を割り当てることで実現できる。
「リーフ」でEV市場をリードする日産自動車は、3台のEVコンセプトカーを披露した。世界初公開となった「PIVO 3」(図2)は、都市型コミュータEV「PIVO」シリーズの3代目となる。2007年に発表した「PIVO 2」が未来的なイメージが強かったのに対して、PIVO 3は4m幅内でUターンできるといった商品化を意識した機能が搭載されており、“近未来”的な仕上がりとなっている。
本田技研工業が出展した乗用車の電動コンセプトカーは3台。PHEV「AC-X」とスポーツカーEV「EV-STER」、そしてコミュータEVの「MICRO COMMUTER
CONCEPT」(図3)である。このコミュータEVは、容量が3.3kWhのリチウムイオン電池パックで最大60km走行できる点(1kWh当たりの走行距離はリーフの2倍以上)やロボット的なデザインからも、かなり先の未来をイメージしたコンセプトカーであることが伝わってくる。
スズキは、PHEV「スイフト EVハイブリッド」や電動スクータ「e-Let's」など、商品化の時期が近いコンセプトカーの他、半径10kmの日常生活圏の移動に利用する超小型EV「Q-Concept」(図4)を出品した。乗用車と二輪車の中間に位置づけられており、駐車スペースは一般的な乗用車の1/3で済むという。
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