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【ET2011】Intel、ARM、MSらが繰り広げる先端ソリューションを体感する組み込みイベントレポート(2/2 ページ)

恒例の組込み総合技術展「Embedded Technology(ET)」が今年も11月中旬にパシフィコ横浜で開催された。最新技術が一堂に会するET、今回はその中でも最先端のソリューションに注目し、次世代の組み込み製品開発のヒントを探りたい。

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アナログ回路とMCUを融合するSmart Analog

 ET2011では、興味深いMCU向け最新技術も幾つか見受けられた。

 その1つ、「ETアワード2011 最優秀賞」を受賞したエルイーテックの高レジエンス・マイコン技術「FUJIMI」は、MCUに無停止機能を付加するものだ。「パチンコ機向けで実績がある無停止技術を汎用MCUでも使えるようにした」(説明員)という。通常のMCUでは、暴走が起こると、監視タイマーによりリセットをかけるために継続処理が阻害される。一方、FUJIMIの場合、短い一定周期で最上位割り込み(NMI:Non Maskable Interrupt)とCPUの“リアルタイム”リセットを行う。まずNMIが発生すると正常・異常をチェックし、正常なら動作ログのスタックを保存、リセット後にこれを参照して処理を再開する。異常時は直近の正常な動作ログを参照して再開するという仕組みだ。

FUJIMI
画像10 エルイーテックの高レジエンス・マイコン技術「FUJIMI」は汎用MCUにフォールトトレランス機能を付加する

 最大手のルネサス エレクトロニクスでは「Smart Analog」技術が目を引いた。これはMCUとアナログ回路を連携させるもので、主にセンサーシステムの開発に役立つ。実際に参考出展されていたのは可視光ID通信システム。その動作は、可視光ID送信ボート(MCUは78KO/IB2)をセットしたLED照明の光線によりID(特定情報)を送信し、そのIDをSmart Analog技術でフォトダイオード(受光回路)とMCU(78KOR/KE3-L)をワンチップ化した可視光ID受信ボードで受信し、モニター表示するというものだ。可視光ID通信システム自体はJEITAで規格化されており、Smart Analogのような技術が普及してくると、実現性が高まりそうだ。

Smart Analog
画像11 MCUとアナログ回路を連携させるルネサスの「Smart Analog」を応用した可視光ID通信システムのデモ

Monoidicsの静的解析ツール
画像12 業界で初めて分離理論(Separate Logic)に基づく形式手法を用いたMonoidicsの静的解析ツール

 ET2011では組み込みソフトウェア開発を支援するソリューションも多彩だった。目新しいものでは、英Monoidicsがシーテックのブースで展示していたソースコード検証ツール「INFER」があった。INFERは、従来のパターンマッチングを行う静的解析ツールと違い、“形式手法”により数理的にソースコードの欠陥を抽出する。形式手法で一般的なホーア論理を拡張した「分離論理(Separate Logic)」を用いた初の商用ツールだ。特に重大な障害を引き起こすメモリリーク、ポインタ参照エラーなどメモリに関わる欠陥を見つけるのが得意だ。また、ビジュアルなダッシュボード機能が優れており、ソースコード全体の状態を容易に可視化できる。



 メンター・グラフィックス・ジャパンは、大幅な機能進化を果たしたUI設計・開発ツール「Inflexion UI」を披露していた。従来は一部でコーディングが必要だったが、現行バージョンは組み込み機器向け3D描画規格のOpenGL ES2.0にも対応し、2D/3Dのデザイン部材をドラッグ&ドロップで配置し、マウス操作でアニメーション設定などが行える。作成したUIは、ターゲット機器(Linux/Android、Nucleus OS)に実装したInflexion UI Runtime上で即座に実行可能となる。「プログラミング経験のないデザイナーでも十分に扱える」(説明員)と自信を見せた。

Inflexion UI
画像13 UIデザイナーとソフトウェア開発者の分業を可能にするメンター・グラフィックスのUI設計・開発ツール「Inflexion UI」

 以上、ET2011で訴求されていた膨大な製品、ソリューションのごくごく一部を紹介した。今回も組み込み業界に将来大きな成果をもたらしそうな萌芽が随所に見えた。来年も楽しみである。


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