フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは2011年11月、ARMのプロセッサコア「Cortex-A5」と「Cortex-M4」を搭載する組み込み機器向けプロセッサの新ファミリ「eMPU」の概要を発表した。2012年第1四半期に産業用機器向けの製品を、2012年第2四半期に車載情報機器向けの製品を投入する予定である。また、これらの製品の出荷に先行して、2011年末までにソフトウェア開発ツールを提供する方針だ。
eMPUは、ARMのアプリケーション処理用プロセッサコアの中でも低消費電力性能と価格低減に焦点を当てたプロダクトであるCortex-A5と、ARMのマイコン向けプロセッサコアで最も高い処理性能を持つCortex-M4を搭載する、非対称のマルチコアプロセッサ製品である。フリースケールのプロセッサ製品の中では、「Cortex-A8」や「Cortex-A9」などのARMのアプリケーション処理用プロセッサコアを搭載する高性能プロセッサ「i.MXファミリ」と、Cortex-M4を搭載する汎用マイコン「Kinetisファミリ」の間に位置している。なお、「Cortex-A5」の搭載製品が公表されるのは初めて。
eMPUは、Cortex-A5とCortex-M4の動作を連携させるために、プロセス間通信(IPC:Interprocess Communication)をサポートする専用のAPI(Application Programming Interface)を用意した。このAPIを用いることにより、Cortex-A5上で動作するLinuxなどのアプリケーション処理用OSと、Cortex-M4上で動作するリアルタイムOSが相互に行う通信処理を考慮せずにソフトウェアを開発できるようになるという。また、A-Dコンバータ、D-Aコンバータ、プログラマブルタイマー、オンチップメモリ、各種インタフェースなどの豊富な周辺回路を集積する予定だ。
eMPUと同様の構成を持つプロセッサ製品としては、ルネサス エレクトロニクスのマルチメディア機向けSoC(System on Chip)が挙げられる(関連記事)。例えば、2011年10月発表の車載情報機器向けSoCの最上位品「R-Car H1」は、アプリケーション処理用プロセッサコアとしてCortex-A9を4個、リアルタイム処理用プロセッサコアとしてルネサスの「SH-4A」を1個搭載している。
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