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成功するメガソーラーの条件とは、日本商社がドイツで取り組むスマートグリッド(3/3 ページ)

総合商社の双日は、ドイツで24MWと大規模なメガソーラー事業を開始した。なぜ日本企業がドイツで発電事業を手掛けるのか。ドイツに立地するメリットは何か。どのような国がメガソーラーに適しているのか。複数の発電所を比較し、成功するメガソーラーの条件を探った。

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どのような国が太陽光事業に向くのか

 双日のメガソーラー事業の計画は、ドイツ国内に限定されてはいない。それではメガソーラーを建設するとすれば、どのような国が向いているのだろうか。

 双日によれば3つの条件があるという*5)

*5)この他、平均気温が低いこと、設置スペースが確保できることなどさまざまな条件がある。

  1. 日照が保証されていること(発電量の確保)
  2. 電力需要が大きく、伸びていること(需要の確保)
  3. FIT制度の完備(投資の不確実性を抑える)

 (1)は地理的な条件で決まる。ドイツは日照に必ずしも恵まれてはいない。1平方メートル当たりの年間平均入射エネルギーは80〜90Wにすぎず、これは日本(180〜190W)の約半分だ(図3)。ドイツは冬季の入射光の落ち込みが大きい。逆に考えれば、ドイツ程度の入射光があれば、他の条件次第でメガソーラー事業が成立するということになる。

 実例もある。カナダだ。カナダは寒い山の国というイメージがあるものの、五大湖周辺に限れば年間平均入射エネルギーは、120〜140Wと低くはない。

 カナダInnergex Renewable Energyは、カナダ南東部のオンタリオ州で出力33.2MWのメガソーラー「Stardale」を2012年第1四半期にも稼働させる予定だ。売電価格は1kWh当たり0.42カナダドル(2011年10月時点で約31.4円)。固定価格買い取り期間は20年だ。この計画では三菱東京UFJ銀行が1億1700万カナダドル(約85億円)を貸出期間約20年で融資している。


図3 太陽光の入射量 1900年から2004年の年間平均値を示した。茶色は入射量が多く、青や紫は少ない。米国南西部やエジプト南部を中心とした地域、チベット、オーストラリア大陸全域などの太陽光入射量が多いことが分かる。出典:パリ国立高等鉱業学校(École nationale supérieure des mines de Paris)のCentre Energétique et Procédés

 (2)は先進国や成長率の高い新興国が当てはまる。ドイツは欧州で最も電力消費量が大きい。先ほどのカナダの発電所も大電力消費地である米国北東部に隣接している。

 (3)はFITに歴史のあるドイツが最適だろう。ただし、FITの買い取り価格は必ずしも隣接国同士で連動していないため、その時々で優位性が変化する。

 日本でも、2012年初頭にはFITの買い取り価格や買い取り期間が決まる見通しだ。2011年の年末から、2012年初頭にかけてメガソーラーの具体的な計画が次々と明らかになるだろう。


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