系統・配電・需要、3拍子そろった国内最大級の実証実験を三菱電機が開始:スマートグリッド(2/2 ページ)
火力発電の模擬装置や4MW以上の太陽光発電システムを置く。変電所や大容量のNaS蓄電池を経由した電力を3棟の模擬ビルや30軒の模擬住宅に送るという大規模な実験だ。スマートメーターの分散ネットワークでつなぐ。
2015年度、売り上げの3割をスマート関係から
三菱電機は2015年度の売り上げ目標を4兆円以上としている。そのうち、スマートグリッド・スマートコミュニティー関連事業売り上げの目標は1兆3000億円だ。部門別内訳はどうなっているのだろうか。
重電システムは2010年度の1900億円から2850億円へ伸ばす。家庭電器は4530億円*2)から7000億円へ、その他(産業メカトロニクスや情報通信システム、電子デバイスなど)を1570億円から3150億円へとそれぞれ拡大させる方針だ。
*2)4530億円という数値は家庭電器関連の売上高約1兆円のうち、スマートグリッド・スマートコミュニティー関連を抜き出したものだ。重電システムやその他の数字も同様である。
実証実験を進めることによる直接的な効果はさまざまだ。次世代電力系統分野の実証実験(需給/配電システム、自動検針システム)やエネルギーインフラ分野(地域EMS:エネルギーマネジメントシステム)の実証実験は充電システムの売り上げ増へと波及する。
、エネルギー最適利用分野の実証実験(需要家EMSやパワーコンディショナなど)は重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、家庭電器など効果が及ぶ範囲が広い。
山西氏は「2020年に向けてスマートコミュニティー、スマートシティがさらに拡大していく。そのため当社の関連売上もさらに規模が大きなっていく見通しだ」と述べた。
同社はスマートグリッドを次世代の発展課題の1つに据えており、既に山西氏直轄の「電力流通プロジェクト」(所属20人)「次世代エネルギー通信プロジェクト」(15人)を発足させている。全社プロジェクトは総勢150人。
今回の実証実験に基づく本格的な事業展開は2013年度から。海外市場へも欧州など太陽光発電システムの導入を拡大し、変電機器などのインフラ整備(北米や中国、インド、東南アジア)、さらにはインド、東南アジアへインフラ運用を含めたコミュニティー丸ごと型の事業展開を図る計画だ。
なお、尼崎地区の太陽光発電システムは、当初2011年6月までに設置する予定だった。しかし、東日本大震災とその後の太陽光発電システムの需要急増などの影響により若干遅れ、8月に設置が完了。このほど実証実験の開始にこぎつけた。常務執行役電力・産業システム事業本部長を務める中谷義昭氏は「尼崎地区に設置した4000kWの太陽光発電システムは、同地区で使用する電力の約1割をまかなう」と語った(図6)。
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