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太陽電池国内市場の停滞を欧州向け輸出がカバースマートグリッド

太陽光発電協会の統計によれば、2011年度第1四半期は、太陽電池の国内市場が対前期比で10%弱縮小した。東日本大震災の影響だと考えられる。一方、欧州向けの輸出が急回復したため、総出荷量は前期比で10%強成長、対前年同期比では26%成長した。

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 太陽光発電協会(JPEA)は2011年8月25日、国内企業29社が2011年度第1四半期(2011年4月〜2011年6月)に出荷した太陽電池セルと同モジュールについての統計を発表した(図1)。

 国内生産と輸入、輸出を合計した総出荷量は対前年同期比で126%の69万7406kWに成長した。対前期比でも111%である。四半期ベースの出荷量としても最も多い出荷量だ*1)

*1)2010年度は第3四半期(68万3192kW)の出荷量が最も多かった。

いびつな構造が隠れている

 総出荷量が対前年同期比、対前期比でそれぞれ増加しているとはいえ、実際にはいびつな構造が隠れている。国内生産と輸入、欧州向けを除く輸出の傾向が、対前年同期比で増、対前期比で減となっているからだ。総出荷量が対前期比でも成長できたのは、欧州向けの輸出が急回復したためだ。

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図1 国内メーカーによる太陽電池の出荷量 2011年度第1四半期(2011年4月〜6月)(右)の他、参考のために、2010年度第4四半期と、2010年度通年の出荷量を示した。出荷量は出力に換算し、kW(キロワット)で表した。なお、2011年度から、「電力会社発電事業用」という統計分類が加わっている。「電力会社もしくはIPPが売電を目的とした500kW以上のものを指す」という。出典:太陽光発電協会

 総出荷量は3つの項目からなる。全体の31.3%を占める国内生産と5.8%を占める海外からの輸入、62.9%を占める輸出だ。国内生産分と輸入分が日本国内で流通する。太陽光発電協会は国内市場が縮んだ理由を説明していないが、2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響が大きいと考えられる。

 国内市場で流通した太陽電池モジュール、同セルは、輸出分を除く25万8609kW(対前年同期比130.7%、前期比91.2%)。内訳は国内生産が対前年同期比129.3%(前期比97.5%)の21万8405kW、輸入が同139.1%(同67.4%)の4万204kwである。

欧州が輸出を支える

 太陽電池の最大の輸出先は欧州であり、輸出全体の66.1%を占めた。輸出量は対前年同期比で113.4%(29万279kW)と伸びている。2010年度は欧州向けの落ち込みが目立っていたため、対前期比では153.6%に達した。欧州市場の需要の回復に助けられた形だ。

 輸出先で2番目に多いのが米国向けだ。輸出全体の17.9%を占め、対前年同期比114.8%(7万8402kW)となった。ただし前期比では95.1%の微減である。その他の地域も米国と似た傾向を示す。前年同期比では222.3%(7万206kW)だが、前期比では96.5%だからだ。

国内市場の落ち込みは産業用が原因

 国内生産分と輸入分を足し合わせた国内出荷向けについては、用途別の内訳も公開されている。最大の用途は個人住宅用発電システムであり、国内出荷の86.8%(22万4560kW)を占めた。対前年同期比で125.4%(対前期比98.2%)である。統計上は全ての住宅用が系統に連系している。

 国内市場の落ち込みの原因は、公的施設を除く産業事業用だ。企業の事務所や工場への設置が含まれる。2万818kWという出荷量は対前年同期比では253%に達するが、対前期比では53.7%という落ち込みだ。以上の2つの用途で国内出荷の94.9%を占める。

 総出荷量に占める材料別の太陽電池の比率は、Si(シリコン)多結晶が49.2%、次いでSi単結晶が33.9%である。前期比、前年同期比ともSi単結晶の成長が目立つ。太陽光発電所や工場の屋根への設置に向くSi薄膜は11.5%を占めた。

 今回の調査対象は、以下の30社である*2)。AGC硝子建材、Qセルズジャパン、YOCASOL、カナディアン・ソーラー・ジャパン、カネカ、川崎重工業、京セラ、グリーンテック、クリーンベンチャー21、神戸製鋼所、サニックス、サンテックパワージャパン、三洋電機、シャープ、ショット日本、新興マタイ、積水化学工業、ソプレイソーラー、ソーラーフロンティア、長州産業、東芝、トリナ・ソーラー・ジャパン、ノーリツ、パナソニック電工、富士電機、フジプレアム、本田技研工業、ミサワホーム、三菱重工業、三菱電機。

*2)今四半期から調査対象にノーリツが加わった。富士電機システムズは2011年4月に富士電機に吸収合併されている。なお、30社中1社からは回答が得られていない。


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