節電や停電に備える大容量蓄電池、課題は何か:スマートグリッド(3/3 ページ)
大容量蓄電池は家庭用が先行し、小規模オフィスなどに向けた製品が後を追う。容量は1kWhから最大6kWhまでがそろう。ただし、蓄電以外の周辺機能に幅があり、タイマー動作が必要かどうかなど、機能を見極めなければならない段階だ。
100V電源に接続して即座に使える
ESSP-2000は、容量1.2kWhのリチウムイオンモジュール2個とインバーター、コンバーター、BMSなどを内蔵した電池システムだ。100Vの入力系統を2つ、100Vの出力系統を6つ備えており、利用に際して据え付け工事や複雑な設定は必要ない(図6)。消費電力が100WのデスクトップPCが1台なら24時間、10台なら2.4時間動作する。
利用モードは3種類ある
利用モードは用途に応じて3種類から選ぶ。UPSモード、バックアップモード、タイマー充放電モードだ。
UPSモードではAC電源とAC出力が直結されており、充電には余剰電力を使う(図7)。停電時にはスイッチ類を使わず無瞬断で二次電池の出力に切り替わる。サーバやデスクトップPCなど瞬断を許さない機器に向けたモードだ。
バックアップモードはUPSモードと似ている。UPSモードでは余剰電力を使って充電しているため、負荷の大きな機器を常時利用していると充電できない。そこで、このモードでは入力ACを2系統用意した(図8)。保冷庫など、瞬断を許す機器に向けたモードであり、停電時にはインバーター内でスイッチを切り替えることで対応する。切り替えに要する時間は20msだ。
図8 バックアップモードの動作 図左端にAC入力(桃色)が2系統あり、上のAC入力は図右のインバーター(青)を通して負荷(黄色)に接続されている。下のAC入力は、図左のコンバーター(青)を経由して、BMS(紫)で管理された蓄電モジュールに接続されている。停電などで系統から切り離されたときはインバーター内部でスイッチング動作が起こるため、20msの瞬断が発生する。
タイマー充放電モードは、電力消費のピークシフト(負荷分散)を実現したいときに利用するモードだ。例えば夜間に充電し、日中は二次電池の出力で機器を動作させる。ESSP-2000の前面に備わる監視パネルから、1日に2回までの充電時間と放電時間を設定できる(図9)。
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