ARM、GPU製品「Mali」ファミリの開発戦略を語る:将来GPUに求められる性能とは?
ARMは「モバイルデバイス・モバイルゲームにおける『2016年のユーザーエクスペリエンス』を担う、GPU戦略について」と題し、記者説明会を開催。来日中の同社 メディア・プロセッシング部門 上級副社長 兼 ジェネラル・マネージャのLance Howarth氏が、同社第4世代GPU製品「Mali-T604」を含む、Mali製品群の概要の他、将来GPUに求められる性能、そしてGPUの開発戦略について説明した。
ARMは2011年7月25日、「モバイルデバイス・モバイルゲームにおける『2016年のユーザーエクスペリエンス』を担う、GPU戦略について」と題し、記者説明会を開催した。
来日中の同社 メディア・プロセッシング部門 上級副社長 兼 ジェネラル・マネージャのLance Howarth(ランス・ハワース)氏が、同社第4世代GPU製品「Mali-T604」を含む、Mali製品群の概要の他、将来GPUに求められる性能、そしてGPUの開発戦略について説明した。
消費者が求めるグラフィックステクノロジーへの要求の変化について、同氏は「過去5年間を振り返ると、携帯電話やSTB(Set Top Box)などのさまざまなデバイスに対する消費者の要求は大きく変化してきている。特に、アップル社のiPhoneやiPadが市場に投入されて以来、リッチコンテンツを楽しめたり、タッチ操作でスムーズかつ直観的にデバイスを操作できたりといったグラフィックステクノロジーへの期待は非常に大きくなった」と語る。また、ゲームの分野においても「従来の専用端末ではなく、携帯電話やスマートフォン、STBなどのさまざまなデバイスで楽しめるものでなくてはならなくなったし、同じコンテンツを携帯電話やテレビなどの複数のデバイスで展開できることも求められている」(同氏)。このように、モバイルデバイスを中心としたさまざまなデバイスで今、GPUテクノロジーが採用されてはじめており、そこに同社はグラフィックスプロセッサMaliファミリを展開する。
では、同社のMaliがどのような製品に採用されているのか。その最たる例が、サムスン電子のAndroid搭載スマートフォン「GALAXY S II」だ(日本でもNTTドコモから「GALAXY S II SC-02C」として発売されている)。このGALAXY S IIのCPUにデュアルコアARM Cortex A9 MPCoreが、GPUにMaliの第3世代製品であるクアッドコアARM Mali-400 MPが採用されている。「世界中のメディアからGALAXY S IIのパフォーマンスについて高い評価を得ているが、実際に同じ画面解像度を持つ端末同士のグラフィックス性能を『GLBenchmark 2.0』で測定してみると、GALAXY S IIが高い性能を示している」(同氏)。
Mali-400 MPのベンチマーク結果(プレゼン資料より)。「GALAXY S IIに搭載されたMali-400 MPはパフォーマンスとパワーマネジメントの観点からフルスピードではなく、60%程度の性能で動作している」(同氏)と説明
続いて、同氏は将来のGPU開発に向けた課題として、画面解像度とコンテンツ複雑度の向上を挙げ、「画面解像度は20倍以上、コンテンツ複雑度は25倍以上と急増している。つまり、GPUに求められるグラフィックス処理性能は500倍以上に増加している」(同氏)と説明。さらに、「こうした性能向上とともに、消費電力をこれまでと変わらず一定に抑えなければならない」とその課題を語る。
こうした課題に対する同社のGPU開発戦略について、Maliのロードマップが示された。第3世代のMali-400 MPの次世代製品として、2010年11月に発表されたMali-T604(詳しくは:関連記事)の登場が控えている。このGPUは「GPUコンピューティングを前提としてもので、OpenGL ES 2.0の他、次期OpenGL ES“Halti(コードネーム)”を、そして、Windows 8をにらみマイクロソフトのDirectX 11をサポートする」(同氏)という。また、今年(2011年)10月にはMali-T604の姉妹品に当たる新製品の発表も計画しているという。
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