SAS、富士通との協業で製造業を含む海外進出企業も視野に:データ解析を多様な業種に展開
データ解析で実績を持つSASと富士通が協業。海外進出企業を含め、業界ごとのきめ細かなデータ分析活用を推進していく。
SAS Institute Japan(以降、SAS)は2011年7月12日、2011年度のビジネス戦略および、SAS9.3のリリースを発表した。SAS9.3ではUIの改善、モバイル端末への対応が盛り込まれたものになる。これに加え、2011年度は、コアソリューション強化、パートナー戦略の強化、地域戦略の強化に注力することも明らかにした。
地域戦略の強化では、2011年6月1日からアジアパシフィック地域を北アジア・南アジアに分割し、北アジア本社機能を日本に置く組織体制に一新している。これにより、日本・韓国・中国・香港・台湾地域で横断的なソリューション展開を目指すという。
SAS Institute Japan 代表取締役社長 吉田仁志氏
「自社で2010年度に実施した顧客満足度調査では高い評価を得ている。分析機能強化に毎年500億規模の投資をしており、品質には自信を持って提供している」という
具体的には「日本で展開したベストプラクティスを韓国や中国に展開、あるいは逆の流れも考えられる」(SAS Institute Japan 代表取締役社長 吉田仁志氏)としている。
また、パートナー戦略強化では、2011年6月16日に発表済みの富士通との協業が挙げられる。
富士通は基幹システムを中心に日本企業の海外進出を支援しているが、今後、SASの分析システムと併せて製造業・流通業を初めとした企業にSAS製品の販売も手掛けていくとしている。
具体的な協業の対象は、顧客管理向け「SAS Customer Intelligence」、サプライチェーン最適化製品「SAS Supply Chain Intelligence」、リスク管理製品「SAS Risk Intelligence」および、これらを総合的に分析する「SAS Buisiness Analytics Platform」が挙げられている(下図参照)。
SASは、以前から大量データ分析ニーズがある金融業界での導入実績が多い。富士通は金融業界向けシステムなどを提供する一方で、製造業向け・流通業向けなどの業界に特化したソリューション提供網を持つ。
今回の協業では、富士通は基幹システム向けハードウェア・アプリケーションなどを提供し、SAS製品によるデータ分析機能を各業種向けに展開するとしている。「アジア進出の製造業・流通業も視野に入れている」(大島氏)という。
富士通では富士通総研の中にSASの分析ソリューションの認定技術者を置き、提案やサポート体制を強化していくとしている。
なお、SASの2011年度の戦略としてはこのほか、ソーシャルメディア分析によるマーケティングの提案強化なども挙げられている。
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