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インタビュー

100%自然エネルギーは可能なのか、六ヶ所村の実験電気自動車 トヨタが考える次世代環境車(3)(2/2 ページ)

ガソリン車がPHV、EVに置き換わっていくと、自動車の社会的な位置付けが変化し、自動車メーカーの戦略も変わる。第1回はPHV、EVが社会システムに貢献するためのエネルギー管理について取り上げ、第2回はユーザーとつながるために必要なソフトウェアサービスについて聞いた。第3回ではHEMS技術の実証実験について何が分かったのかを聞いた。

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積雪の影響が大きい

 六ヶ所村は本州の最北端に近く、寒冷で冬季には1m程度の積雪もある。エネルギーの自給は難しいように思える。実験の途中経過はどうだったのだろうか。

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図3  トヨタ自動車e-TOYOTA部BRスマートグリッド企画グループで主幹を務める天野裕次氏。「積雪がない10月は平均85%程度の電力を自給できた」。

 「2010年9月から実験を始めたところ、積雪がない10月では平均85%程度の電力を自給できた*2)。残りの15%は風力発電所から供給を受けた。積雪があると、自給率は20%まで下がる。いずれにせよ、(都市部など)系統と接続されている場合は、買電が必要だ」(トヨタ自動車e-TOYOTA部BRスマートグリッド企画グループで主幹を務める天野裕次氏、図3)。100%こそ実現できなかったが、政府が発令した昨年比15%の節電を義務付ける電力使用制限令は十分クリアできる水準だ。

*2)実証実験では6棟が2〜3kWの太陽電池を備え、トヨタ自動車が担当した2棟は10kWだ。家庭用の平均設置容量は3〜4kWである。各家庭は1日当たり8〜10kWhの電力を消費するという。

電力に対するインセンティブをどう高めるか

 ピーク電力の押さえ込みにも研究課題が残る。実証実験では6棟と8台のEVを組み合わせることで、電力のピーク需要をずらすことを試みた。

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図4 トヨタスマートセンターの管理画面 一部を示した。図上にあるPHVの車体の色はモードを表す。ガソリンを使わないEVモード(空色)、ガソリンを使うHVモード(赤)、停止中(灰色)を区別できる。PHVの脇にある4つの数字は、順に発電量、消費電力、充電量、二酸化炭素排出量を示す。図下にある家屋ではPHVに充電中だ。

 トヨタスマートセンターの管理画面(図4)では、各家庭ごとの発電、蓄電、消費状況を1分ごとに集計している。PHVの情報は15分ごとに集めている。「居住者の行動をGPSなどで直接調べることはしていないが、家電の使用状況やPHVから送信されてくる状態を見ることで、季節や時間ごとの電力の使用パターンを把握できる。この使用パターンが電力の自給率に大きく影響する」(天野氏)。

 トヨタスマートセンター側では、6棟全体の電力使用パターンを勘案して、各戸に「計画」を送信する。例えばある家ではエコキュートを午前1時から午前3時まで動かし、3時からPHVの充電を開始するといった具合である。

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図5 据え置き型のHEMSモニター エコキュートの状態を見ているところ。右下にはシステムが提案した「計画」を表示するボタンがある。計画は自由に変更可能だ。同じ画面はHEMSモニター以外にテレビ受像機やスマートフォンでも閲覧、操作できる。

 センターの計画はあくまでも提案であり、そのまま受け入れることもできるが、HEMSモニター(図5)を操作して、提案内容とは異なる運転パターンを選ぶことも可能だ。居住者側には他の5戸の状況を見せないようにしており、計画と個人の予定以外にはどのように行動したらよいのか判断材料がない。「現在は計画に従うか、各家庭で運転パターンを決めるかのいずれかしか選択できない。計画の内容がどのぐらい重要なのかは各居住者は分からない。計画にどの程度重要性があるのかを示したり、重要な計画には何らかの価値のあるポイントを提供することで、意志決定の際のインセンティブを与えなければならないだろう」(トヨタ自動車)。


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