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Gbps時代を迎える車載情報系ネットワーク(3/7 ページ)

現在、欧州の市場を中心に、従来よりも高速なネットワーク技術を用いる車載情報機器の開発が進められている。数年前までMbpsのレベルであったネットワーク通信速度は、現在では1Gbpsを優に超えるようになってきている。本稿では、まず車載情報機器のネットワーク技術にGbpsクラスの通信速度が必要になっている背景を説明する。その上で、高速の通信速度に対応する車載通信用ICの動向についてまとめる。(本誌編集部 取材班)

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アナログからデジタルへ

 SERDES技術やイーサーネットが候補として浮上した2つ目の理由は、車載カメラシステムのデジタル化である。

 現在、車両の後方確認に用いられているバックモニターや、車両の上方から見た映像を表示するサラウンドビューモニターには、車載カメラモジュールから出力されるアナログの映像データが用いられている。このアナログの映像データに替えて、撮像素子から出力される映像データのデジタル信号をそのまま伝送しようというのが、車載カメラシステムのデジタル化である。

写真1カメラ映像の品質の違い(提供:ソニー)
写真1 カメラ映像の品質の違い(提供:ソニー) (a)は、従来のアナログの映像データを出力する車載カメラモジュールを用いた場合の表示品質を示している。より画素数の多い撮像素子を搭載した車載カメラモジュールからデジタル信号で映像データを伝送した場合、(b)のように画像品質が改善される。

 車載カメラシステムのデジタル化によって得られるメリットは2つある。まず、車載カメラに用いる撮像素子の画素数を飛躍的に高めることが可能になる。アナログの映像データはNTSCやPALなどの方式に準拠する必要があるため、撮像素子の画素数も20万〜30万画素程度に抑えられていた。映像データの伝送をデジタル化すれば、この制限を取り払って、より画素数の高い撮像素子を車載カメラに搭載できるようになる(写真1)。

 また、最近のカーナビには、VGA(640×480画素)以上の解像度を持つ液晶ディスプレイが搭載されるようになっている。車載カメラシステムをデジタル化すれば、そういった高解像度の液晶ディスプレイに適した高い画素数の撮像素子を用いたいという要求にも対応できる。

 デジタル化のもう1つのメリットとして、車載カメラの映像データを車載情報機器で処理する際に、アナログの映像データをデジタル変換する手間が省けることが挙げられる。例えば、現行の車載カメラモジュールが出力するアナログの映像データは、撮像素子が出力するデジタル信号をモジュール内でアナログに変換することで得ている。他方で、サラウンドビューモニターのように車載カメラの映像データを合成処理するシステムでは、入力されるアナログの映像データをデジタルに変換してから処理を行っている。

 もし、車載カメラからデジタルの映像データを出力して、車載情報機器の本体部に直接入力できるのであれば、車載カメラモジュール内で行うデジタル−アナログ変換と、車載情報機器の本体部で行うアナログ−デジタル変換を省けるようになる。また、途中に入っていた変換処理が省かれることによって、映像表示のリアルタイム性を高める効果も得られる。特に、リアルタイム性が重視される、車載カメラを用いた予防安全システムでは、デジタル化は必須と言えるだろう。

 MOST150と1394 Automotiveの規格策定や、各規格に対応するICの開発は、HDコンテンツを扱うカーエンターテインメントシステム向けに用いることを前提として行われてきた。このため、車載カメラシステム向けの対応は後回しになっている印象が強い。この隙間に割って入ってきたのが、SERDES技術とイーサーネットである。SERDES技術は、映像データの無圧縮伝送によるリアルタイム性の高さを特徴とする。一方のイーサーネットは、ネットワークのトポロジの自由度が高く、大幅な低コスト化が可能なことを特徴としている。

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