かゆい所に手がとどく、使いやすいCADを目指して:Solid Edge ST4の日本向け記者発表会
Solid Edge ST4は、「かゆい所に手が届く系」の改善がメイン。DMS2011での展示にも注目したい。
シーメンスPLMソフトウェアは2011年6月23日、日本向け記者説明会を開催し、「Solid Edge ST4」を発表した。既に販売は開始しているという(同年6月16日に同製品は米国で先行発表している)。
今回は、シンクロナス・テクノロジを主としたCADオペレーションの機能改善を以下のように細やかに行っている。
- 従来は円筒フィーチャの表面に穴を開ける場合は、円筒内の平面にスケッチを描いて抜くしかなかったが、フィーチャ表面を直接選択して穴を開けられる。
- ドラフティング(2次元製図)から、円筒状(回転体でモデリングするような)の部品の断面図を寸法付きで持ってきて、3次元CADのスケッチに持ってくると、寸法拘束や軸をそのまま保持。そこを基にして回転フィーチャが作成できる(「ライブセクション」)。
- 3次元表示上で、例えば角穴を面の中心部に配置するといった設定が行える。従来は、スケッチに戻らないと修正ができなかった。
- 駆動する部分のアセンブリの駆動範囲を指定できる。例えば、注射器のピストンがシリンダの奥まで押された位置から、引き出してシリンダから抜けない位置を指定できるような機能。
- 例えば、ボルトを長穴の中央に配置する拘束が付けられる(従来は中心部の平面と平面を固定したり、寸法を指定したりなど)。
- シンクロナス環境で、「複合リブ」機能が使える。
アセンブリ関連でも細やかな改善が。ステアリングホイールのパーツコピー機能では、対称コピーした部品に拘束も同時に付加する、アセンブリされたパーツの角Rを同じ値に統一して設定できるなど機能追加した。ほか、ドラフティング(製図)機能も細やかな部分で改善したとのこと。
ST4からは、無償のカタログパーツライブラリ「Solid Edge PARTcommunity」が利用できる。設計でよく使われるバルブ、Uジョイント、ベアリング、アクチュエータなどの部品をSolid Edgeフォーマット(ST3および4)で提供する。海外メーカーだけでなく、パナソニックや三ツ星ベルト、三木プーリ、ハンマーキャスターなど国産メーカーの部品も登録されている。部品は、「メーカー(ベンダー)名」「寸法」「部品番号」「形状特性」の条件から検索可能だ。同社と独キャデナス社との業務提携によるサービスである。
シートメタル(板金)シミュレーション機能については、中立面を活用することによる機能改善、ソリッド面/シェルの端面の接合、メッシュの自動修正など、改善。
同社のPLM「Teamcenter」との連携では、JTフォーマットのファイルのデータ交換を強化。他社CADで生成したJTファイルをTeamcenterを経由してSolid Edge ST4へ取り込み、形状変更を行った後、Teamcenterにチェックインして保存をすれば、元の他社CADデータへも修正が反映できる。
日本ユーザー6社が、Solid Edge ST4のβ版評価に参加したとのこと。その反響として一番目立ったのは、数千点レベルの大規模アセンブリの作業におけるレスポンス向上の体感だという。
より詳しい情報は、DMS2011で
シーメンスPLMソフトウェアは、2011年6月22〜24日で開催中の「第22回 設計・製造ソリューション展」(DMS2011)内で「Solid Edge」メインの単独ブースを構える(同社のNX関連は代理店ブースにて展示)。2011年は、Solid Edgeに一番注目してもらいたいという思いからだという。Solid Edge ST4についても、ブースで詳しい説明が受けられる。
「第22回 設計・製造ソリューション展」(DMS)
会期 | 2011年6月22日(水)〜24日(金) |
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時間 | 10:00〜18:00(24日は17:00に終了) |
会場 | 東京ビッグサイト |
ブースNo. | 東2ホール 小間番号14-13 |
また同年7月21日に同社はユーザーカンファレンス「Siemens PLM Connection Japan 2011」を六本木アカデミーヒルズで開催。ここではSolid Edge ST、NXなど事例を多数発表する。今回の基調講演は、名古屋工業大学 大学院工学研究科社会工学専攻 教授 兼 リスクマネジメントセンター防災安全部門長 渡辺研司氏が登壇する。またシーメンスPLMソフトウェア 会長兼CEO トニー アフーソ(Tony Affuso)氏が来日し講演する。
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