米国の製品化競争は車体、電池、ソフトウェアで:電気自動車
米国のEV開発競争が佳境を迎えている。TeslaやCODAはハードウェアに力点を置き、5人乗りセダンの製品化を予定している。対するGMやFordはソフトウェアサービスに重点を置いている。
米国の電気自動車メーカーであるTesla MotorsとCODA Automotiveは、電気自動車の開発でしのぎを削る。両社は共に、今後数カ月以内に5人乗りセダンを発売する予定だ。両社の幹部に発売予定の電気自動車について聞いた。
Tesla Motorsでプログラムマネジャーを務めるジェローム・ギーエン(Jerome Guillen)氏によると、同社の5人乗りセダン「Tesla Model S」は軽量化のためにフルアルミニウム・ボディを採用した。新開発の電池パックを後輪車軸を構成するリアアクスル付近に搭載することで安定性を確保したという。また、インフォテインメントシステム用に17インチ型ディスプレイを装備する。「Tesla Model S」は2012年初頭の発売を予定している。
Tesla Motorsの初代EV「Roadster」 2人乗りスポーツカータイプのEV。三菱自動車「i-MiEV」の3.3倍の電池(53kWh)を搭載するため、1充電当たりの走行距離は356kmと長い。
CODAは2011年末にセダンを発売
一方、CODA Automotiveは、「CODA Sedan」を2011年末にも発売する予定だ。同社は、電気自動車メーカー向けに電池パックの設計も手掛けている。CODA Automotiveで経営戦略と事業開発担当バイスプレジデントを務めるクリス・ポールソン(Chris Paulson)氏によると、CODA Sedanはカスタム設計のリチウムイオン二次電池を搭載し、1回の充電で最大約192km(120マイル)の連続走行が可能だという。
CODA Automotiveは、中国の電池メーカーと提携し、年産10万個のEV向け電池セルを製造している。今後、米国オハイオ州に電池工場を建設し、年産2万個の電池セルを増産する計画だという。同社は現在、同工場の建設のため、米エネルギー省(DoE:Department of Energy)に融資を要請している。
ポールソン氏は、これまでに2億米ドルの資金を調達しているが、さらに5000万米ドルの資金を集めたい考えであることを明かした。CODA Automotiveは、電池開発で中国のLishen Power Batteryと協業し、自動車組み立てでは、中国のChang'an Hafeiと協業している。
OnStarとFordはソフトで勝負
米国のEVメーカーは、Tesla MotorsやCODA Automotiveだけではない。
General Motors(GM)子会社でGMのPHV(プラグインハイブリッド車)「Chevrolet Volt」向けの車載システムを開発するOnStarは、スマートフォン向けアプリケーションの開発を手掛ける。車に接続した充電器を遠隔操作で稼働させたり、電池容量が少なくなるとユーザーに充電を促したりするものだ。同社はこのほか、Googleや米エネルギー省(DoE)と提携して、EV向け充電ステーションの車載用地図の開発にも取り組んでいる。
OnStarとFord Motor*1は今後、両社の車載システムをサードパーティーの開発者に公開していく計画だという。ただし、両社は共に、車の安全性を守るという用途にのみ使用を許可するとしている。
*1)編注 Ford Motorは、2011年末に、同社初のEV「Focus Electric」を北米で発売する予定だ。5ドアハッチバック車であり、1充電当たりの走行距離は160kmを予定する。
Onstarでプランニングと事業開発担当バイスプレジデントを務めるニック・プダル(Nick Pudar)氏は、「当社は、車載システムに関するあらゆる革新的な技術に関心がある。その1つが、車の運転診断やエネルギー消費情報などの詳細なデータ取得だ。これらのデータはドライバーの(環境)教育に役立つ」と述べている。
Ford Motorの経営陣によれば、同社の車載インフォテインメントシステム「Sync」に関して、Microsoftとのパートナーシップを拡大するという。目的は、より使いやすい充電システムを実現するためのソフトウェアの開発だ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:@IT MONOist】
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