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CAE以前に、「設計する」って何なのTwitterからあふれたCAEの本音語り(1)(3/4 ページ)

 CADやCAE、設計業務について、Twitter上で活発に議論を交わす技術者の人たちを大手町に召集してみた

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世の中共通のモノサシ

――その場にいた人たちがどよめいた、設計者の工数記録……。水出氏がその結果を上司に報告したところ、厳しいコメントが返ってきたという。


水出2

月に1週間だけ、「ざっくばらんでいいから、サンプリングさせて」というのをやったんです。

設計している時間をグラフで見ると、(そのうちの)半分。で、それをトップが見て、「これじゃあ、効率上がらないよね」って言うのよ。だから、「グラフ(の設計の部分)を7〜8割まで持っていきたいね」と……。そのために、中身を見たら、実は、手戻りの不具合に対応している時間が結構あったわけです。で、「ここをつぶせば、設計の時間って大きくなるんじゃない」、ということをやっていて……。

自分もそうなんだけど、設計者の立場で行くと、「時間はたくさんほしい」わけですよね。でも、うちの監査役から言われたのは、「お前ら、間違っている」と。要するに、「世の中の共通のモノサシとは、時間だ」、と言うんです。だからさっき、土橋さんも言った「2.5カ月」、これが共通のモノサシ。会社(経営)側、作る(現場)側、クライアント側の共通のモノサシ。その中に入れるために、人と物と金を投入しないといけない。だけど、「お前らは、物の都合で人の時間を延ばしている。その考え方を正しなさい」って。


―――設計者がひたすら忙しい大きな原因は、不具合対応にあり? すなわち、CADやCAEをいくら使っても、不具合対応がたくさん起こってしまう理由を潰さなければ、仕事は減らない。この逸話を紹介した後、水出氏は「CAEって電卓であり、手段。目的の前に、手段の話ばかりをしているような気がする」と言う。

南山2

僕も、駆け出しのころから自分で設計して、自分で物作って、自分で実験やって、「すいません、できませんでした」って謝りに行って、現場行って、全部直してって――そういう生活をしていると、やっぱり「見る目」がなきゃいけない。

実はいま、そこが足りてるようで足りていないんじゃないのかな。まさに、そういう部分とのバランスを取ってやっていかないと、全然変わらない。「設計」が、「CAE」がという以前に、「設計すること」の本質について、「プロセスを含め、設計にどう向き合うか」という部分から考えていかないと、やっぱり、今回の答えは出ないのかな。


―――実験をするにしてもシミュレーションをするにしても、やはり「見る目」が肝心である。見る目を養うためには、まず「設計すること」の本質を理解していること。そして、それを理解するためには?

若手、もっと自分の手を汚せよ

――「見る目」は、実体験によって養われる。「若手は、自分の手を汚さない」と水出氏は苦言を。30〜40代メインのメンバーの中では若手(20代)となる人も、参加者にいたわけだが。

水出2

いまの若い人たちが、ちょっとなよなよっとしているのは、実は、自分の手を汚さない。失敗もない。失敗しても、そんなに……、まあ怒られるっちゃ、怒られるけど……。昔の人は、ものすごい失敗したでしょ。

うちにも試作部隊があって、加工課にはすごい機械があって、そこに出すと、課長がすぐに(物を)作ってくれるんです。加工課に、「明日実験したいから、すぐに(作って)」と頼みたいとする。加工課には、「今日出したら、今日上がる」ぐらいの、能力あるんですよ? でも、いまどきのね……設計者は……。「僕は、図面を出した」「通常、(出図後)2週間です」って言うんです。

図面持って走っていって、「すんませんこれ、今日中に加工してください!」、「じゃ、分かった!」って世界なのに……。でもこれ、CAEとか云々とかじゃなくて、なんかこの、日本の設計者が、というか……。


南山2

そこまでいうかーっ!


 (一同、笑い)

水出2

なんだろ、「ぬるい」?


南山2

ぬるいっつーかさ、ISOのマニュアル文化にかり出されちゃった? うちは、モデリングのルール書なんてないよ。CAEもCADも、何もかも。一切、僕はマニュアルを作らない。(活動し出した)最初のころは、僕の査定は下がりましたけど。

昔の上司とかは「ルール作れ」とか、「マニュアル作れ」とか言うけど、作らない。だって、設計者に「本当のことを」考えてもらわないと、設計って進まないと思う。シミュレーションも一緒。僕の個人的な思いだけど、シミュレーションって、境界条件が作れた時点で、設計終わっちゃってるの。パラメータが分かっちゃってるから。

境界条件が半分付けられた時点で、「あー、このパラメータとこのパラメータを振れば、きっとこれぐらいになるだろう」、逆に「これぐらいになるだろう」って、予想が付かないと、評価できないじゃないですか。だから、その時点で頭の中で設計が終わっている。そうする訓練を(若手に)させないと。――とおじさんは思うんですけど、若手はどうよ? ここまであいづち打ちながらついてきたけど……。


sojo2

僕は前職で某社で派遣社員として、製品の設計をしていたんです。一応派遣の契約上はトレーサーというかモデラーなんですけど、実質的には設計をずっとやっていました。ただ、派遣という立場だったので、現場に行く権限はなかったんです。現場に行けないけど、設計しないといけない。そこはすごく辛かったですね。物を見に行きたかったのに。


南山2

「実験を見ない」というのは、すごく重要なキーワードで、多分、(ここに参加している人の)半分ぐらいの人がシミュレーションを請け負うじゃないですか。そういうとき、皆さんどうしています? 僕は必ず、初めての解析依頼については現場に行って、不具合の起こった現物を見に行きます。ないものはしょうがないケド……、まず見ますよね?

現物を見ないと、読めないじゃないですか。結局、僕が社内でルールを作らなかったのもそうだし、社内の教育もやはり「実践が大事」(物を見て、考える)。Twitterにも書いたけど、座学だけをやっていると、そこがおざなりになっちゃうのね。


水出2

いろんな会社で、皆、いろんな手をこまねいてやっている。それでも、うまくいかない……。


南山2

でもさ、「考えてもらうこと」が大事かな。僕、シミュレーションを10年以上ずっとやってきたけど、やっぱりそこに帰着しちゃう。


――若手の「見る目」を養うため、実体験をどう積ませればいいか。技術者教育の大きな課題だ。

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