【ESEC2011】組み込みでも本格的な3Dグラフィックス時代の到来を実感:組み込みイベントレポート(3/3 ページ)
本稿では、先に開催された「第14回 組込みシステム開発技術展(ESEC2011)」を振り返り、3Dグラフィックスなど高度化が進む画像処理技術、ソフトウェア開発の大規模化に対応した開発・検証ツールに的を絞り、ESEC2011で見つけた最新ソリューションを紹介する。
次々に生まれる新しい開発・検証ソリューション
3Dに象徴されるように組み込み機器の機能やインタフェースがリッチになるに従い、組み込みソフトウェア開発の困難さは増している現実がある。そのためか、組み込みソフトウェア向け開発・検証ツールのゾーンは例年以上に盛り上がりを見せていた。
この分野で毎回新しいソリューションを披露しているテクマトリックスのブースでは、ソフトウェア構成管理(SCM)ツールの新製品「AccuRev」(開発元:米AccuRev社)に関心が集まっていた。一般のSCMツールと違って“プロセス指向”のAccuRevは、製品の構成サブシステムの他、開発プロセス、開発チームを同じ画面上にツリー表示し、個人のワークスペースも提供する。つまり、成果物が開発プロセス上を移動する様が視覚化される。「ユーザー操作は“トランザクション”として記録され、トレース・再現可能になる。また、プログラムのブランチ・マージ作業を支援する機能が豊富でマウス操作で視覚的に行える」(説明員)。
検証サービス「PROVEQ」を展開するシーイーシーの展示では、ドキュメント曖昧診断ツール「ClearDoc」が目を引いた。これは、仕様書、設計書など各種文書の曖昧度を数値化し、文章解釈の違いから生じるバグを予防するツール(サービス提供もあり)だ。対象文章のセンテンスごとに曖昧度の指数が表示されるため、ユーザーは文章を見直しやすくなる(改善例のアドバイスはなし)。いわば、文章に対する静的解析である。キヤノンなどが同製品を採用し、仕様書の品質向上に役立てているという。
SRAのソースコード検索エンジン「CodeDepot」も興味深かった。これを使うと、いうなれば、“Googleソースコード検索”的なサービスを社内に導入できるわけだ。社内資産およびオープンソースのソースコードを1つのリポジトリに登録。単純なキーワード検索ではなく、構文を解釈した上で検索を行う。構造的に類似したソースコードを探し出す“類似検索”、検索結果のソースコードにメモを添付する“メモ機能”などの機能もある。「役割やユーザーグループに応じたアクセス制御もかけられる」(説明員)という。
今回のESECでも、大規模化、複雑化する組み込みソフトウェア分野では、新しい開発・検証ソリューションが次々と生まれていることが実感できた。
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