【ESEC2011】組み込みでも本格的な3Dグラフィックス時代の到来を実感:組み込みイベントレポート(1/3 ページ)
本稿では、先に開催された「第14回 組込みシステム開発技術展(ESEC2011)」を振り返り、3Dグラフィックスなど高度化が進む画像処理技術、ソフトウェア開発の大規模化に対応した開発・検証ツールに的を絞り、ESEC2011で見つけた最新ソリューションを紹介する。
デジタルサイネージも3D化に向かう
組み込み機器でも3Dグラフィックスが特別なものではなくなってきている。ESECで毎回“近未来像”を示してくれるインテルの「Future Concept Zone(フューチャーコンセプトゾーン)」でも今回は3Dがテーマだった。
同ゾーンでVMJが展示していた独3D International社の3Dデジタルサイネージシステムは、多層光学フィルムを用いて多視点に対応した「Chromatic Light Deflector」と呼ぶ方式の裸眼3Dディスプレイを採用しており、「一般的なパララックスバリア方式(視差バリア方式)に比べて輝度の減衰が低い」(説明員)ことから、画面の明るさが特徴の1つである。また、マルチタッチ操作によるインタラクティブ、リアルタイムな3Dレンダリングを実現しているのは「第2世代 インテル Core i7 プロセッサー」だ。デモ機ということもあってか、若干のモッサリ感はあったが、3Dデジタルサイネージの本格化も時間の問題と感じた。
パイオニアの浮遊映像表示技術「フローティングビジョン」も同ゾーンで来場者の目を引いていた。映像を浮遊させる仕組みは、LCD表示された映像を3D用レンズで集光し、レンズ前の空中に結像するというもの。既にPC周辺機器としては商品化されている。今回はフローティングビジョンの組み込みモジュール(5.7型画面)と赤外線センサーを組み合わせたカーナビアプリケーションをデモ展示していた。例えば、画面の前に浮かぶ「P(駐車場)」のアイコンを隣の地図画面へ手で払うと、駐車場が地図画面上にマッピングされるのだ。3Dの先を行く技術といえる。
3D向けミドルウェア、IPコアで国内勢が奮闘
3Dに最も力を入れていたのは、UIミドルウェアベンダーのエイチアイかもしれない。同社の展示で興味を引かれたのが、ルネサス エレクトロニクスの車載情報端末向けデュアルコアSoC「SH-Navi3」とWindows CE 6.0のプラットフォーム上で、同社の2D/3D UI開発フレームワーク「MascotCapsule UI Framework」で開発したUIアプリケーションを実行する“車載HMI(Human Machine Interface)”のデモだった。3D描画ミドルウェアにはGPU対応の「MascotCapsule eruptionST」を使っており、SH-Navi3が搭載する英Imagination Technologies社のOpenGL ES対応IPコアでアクセラレートされた3Dグラフィックスは非常に滑らかに感じた。その他にも同社は、Android向け3D描画ミドルウェア「MascotCapsule Style3D」なども展示、組み込み機器向け3D UIをサポートする製品群をアピールしていた。
3DグラフィックスIPコアの展示では、国内ベンダーのTAKUMIとディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)が競い合っていた。
まずTAKUMIは、OpenGL ES1.1/OpenVG1.1の両方に対応する最新のハイブリッド型グラフィックスIPコア「GV550」を一押しで訴求。「2Dベクターと3Dでのパイプライン共有化によりゲートサイズを抑えながら、処理性能を従来製品に比べて大幅に上げている」(説明員)としていた。
DMPも多彩な製品ラインアップを展示していたが、特に注目されていたのが国内で初めてOpenGL ES2.0に対応した3DグラフィックスIPコア「SMAPH-S」。Xilinx Virtex-6に実装して高品位な3D映像を実現していた。「シェーダプロセッサを2〜24個搭載でき、しかも海外の競合製品と比較してゲートサイズが半分、3分の1程度しかない」(説明員)。
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