3Dプリンタで“俺iPadスタンド”を作ろう:Macで楽しくて本格的な3Dモデリングしよう(3)(3/3 ページ)
今回作るのは、俺専用iPad 2スタンド! しかもMacでモデリングする。アップル好きにはたまらない(!?)感じのモノづくり。
これはあくまでもスタンドであってケースではない。初めは背面の丸い形状を少しずつ段のようなものを付けて、多段階で傾きを変えることを考えたのだが、ちょっと無理がある。いや、きっと考えられるのだが、じっくり考える時間がない……。
なので今回は、素直に底面をフラットにして立てることにした。従って、Inspiredに使用した形状とは別に新しい形状を作り直した。ただし、Inspiredで出てきた形状はそのままインスピレーションとして使うことにする。
あらかじめスケッチで決めたように、穴を開ける部分をそれぞれのビューでスケッチする。スケッチからそのまま抜いてもよいが、今回はスケッチから面を作成してインターセクトさせた上で不要な面を削除する。
後はスケッチの分だけこのオペレーションを繰り返す。これで一応、求める形状になった(図10)。
ここで厚みを付けようと思う。「オフセット」コマンドで、元の面の内側、3mm入った部分にオフセット面を作成した。このままでは、まだ2つの面が作成されたままだ。なので今度は、両方の面をつなぐ形でブレンド面を作成していく。少々手間の掛かる作業ではあるが、作業そのものは単純だ。
そしてようやく、それらしい形状が出来上がった。後は出力するだけだ。
ところでモデリングをするだけならともかく、実際にRPで出力する場合には考慮すべき点がある。それはRPで使用するワークの大きさだ。今回使用する「uPrint」の場合には、W:203×D:152×H:152(mm)である。iPhoneのケースのように小さいものはあまり問題にならないが、iPadくらいの大きさだと検討の余地がある。ただし、今回はスタンドであってケースではないので、大体縦横140mm(14cm)で、スタンドが立つくらいの厚みで考えた。
さて、ファイルをSTL形式で出力して早速データの品質をチェックする。
おっと、結構な量のエラーが出力された。ソリッドのままでのオペレーションと違って、面をつなぎ合わせて作成したため、見た目上は一体に見えていても、実際には面がスティッチ(縫合)されていないなどの問題があっため、このようにエラーが出てきたようだ。ただし、この手のエラーはCADから出力する際にはありがちなエラーでもある。
一般的に、CADでは直接STLをSTLとして修正することができない。そこで、筆者の連載で何回か説明したポリゴンの修正ツールである「MoNoGon」を使用する。比較のために使用前、使用後を示すが、作業自体は非常に簡単で、かかった時間は3分もない。このツールを1日だけ使いたい場合には、1日ライセンスで800円のみ支払えばよい。使えるものはどんどん使おう。
というわけで、無事にSTLも修正されたので早速uPrintで製作を開始する。これまでの連載では「Dimension」を使っていたが、今回からは、先日3D-GANにやってきたuPrintを使ってみた。樹脂も変わって、サンプルを見る限り表面も以前よりきれいなので期待が膨らむ。
ちなみに造形時間は約10時間。夕方には打ち合わせのための来客があったので、後は機械に任せるのみ。
さて時間は飛んで翌朝。無事に出来上がっている。サポート材を剥がせば、モノは完成。早速自分のデスクの上に持っていって、愛用のiPad 2を置いて見る(以下、写真)。
自分で作ったのでひいき目に見るが、やっぱり自分が作ったものは良い。単純にスタンドを買うだけなら、実用的なものが安く売られている。だが、それでも自作のものって、良い! ワクワクする。
まだ心残りはあるけれど
3次元モデラーのsolidThinkingを使った趣味のモデリングは今回で終了である。取りあえずスタンドはできた。ただ連載の都合で満足いくだけ時間を費やせたかというとまだ心残りはある。もっと大胆にしたかった……。あの形から「蝶(ちょう)」をモチーフにしても大丈夫そうだ。ケースと兼用のスタンド、あるいはケースでありながら片手でiPad 2をホールドできるようなものも作りたいと思っている。
通勤電車の中で立ってiPad 2を操作するときに欲しいのだ。欲望のままに完成したら、それらは随時MONOistで連載している私のコラム『3次元って、面白っ!』か、または私の個人ブログなどで紹介していきたい。
ソリッド、CG、そして今回紹介したようなサーフェスモデリングのツールなど世の中にはさまざまなモデリングツールがある。しかし、今回の連載で紹介した「Inspired」は非常にユニークなツールで、ほかには例がない。新しいもの好きとしてはかなり興味をひかれたツールである。本来の解析ツールとして使用しても、あるいは今回のようにインスピレーションを生み出すツールとしても有効なものであると思う。試すのはタダなので、まだ使ったことがないという人はぜひ使ってみたらよいと思う。いままでに出てこなかったようなデザインが出てくるかもしれない。
たまにはフリーハンドでソフトにアイデアの創出を任せてもよいのかもしれない。誤解を恐れずに言えば、今回はそんなことを思った。最後までありがとうございました。
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