検索
ニュース

EVや自転車を使って都市交通を改善、東大と柏市などが社会実験を開始電気自動車(2/2 ページ)

全市民がガソリン車を保有すると利便性は高まるが、デメリットも大きい。理想的な都市交通サービスがあるとすれば、二酸化炭素を排出せず、低コストでいつでも利用できるという形になるはずだ。EVなどを利用した千葉県柏市の取り組みを紹介する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

高価な「駅」をどうやって減らすか

 「EVや電動バイク、自転車を集積した駅の働きをもつ『ポート』(図2)には電源工事や土地の確保など、1カ所で数百万円が必要になる。ポートの数はなるべく減らしたい。しかし、ポートの数を減らすと利便性が下がる。このような相反する要求を満たす工夫が『ポート送迎コミューター』である」(東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻特任研究員の坪内孝太氏)。

ALT
図2 東京大学柏キャンパス内に設置したポート ポートは合計5つある。ポート内には写真中央上にあるEV/電動バイク用充電設備とロッカーの他、メルセデス・ベンツ日本の「スマート エレクトリック ドライブ」と「スマート」(ガソリン車)、トヨタ自動車の「プリウス」(以上写真左上)、ヤマハ発動機の電動バイク「EC-03」(写真中央)、共有自転車(写真右)が置かれている。

 今回の実験では、柏市と流山市にまたがった約6km×約2kmの地域に5カ所のポートを設けた。近くにポートがない利用者の利便性を高めるために、ポート以外の60カ所とポートの間にポート送迎コミューターを運行することで対応する。コミューターは定期便ではない。ユーザーがサービスの予約時に××ポートに何時に到着したいかを入力することで、60カ所のうち、ユーザーに最も近い地点に派遣する仕組みだ(図3)。

ALT
図3 ポート送迎コミューターの運用 コミューターの位置に基づいて移動時間を計算し、ユーザーが予約した時刻までに派遣する。コミューターはバスのような一定の路線を持たない。

 ポート送迎コミューターは、一般には「オンデマンド交通」として既に全国30カ所で実験、実用化が進んでいる。停留所ではない地点でも乗車ができるバスのような使い勝手だ。ただし、オンデマンド交通とポートと組み合わせたサービスは今回の実証実験が始めてであるという。

 事前のシミュレーションの結果、120人のユーザーが、5台の自動車(EV、HEV、ガソリン車)と5台の電動バイク、15台の自転車を使う今回の実験の規模では、ポート送迎コミューター(タクシー)は1台で十分だということが分かったという。

携帯電話とICカードで利用可能

 ユーザーが今回のサービスを使って目的地に到着するまでの流れは以下の通りである。

ALT
図4 ポート内での操作の様子 電動バイク貸し出しの様子。会員カードをかざすことで、ヘルメットが格納されたロッカーが自動的に開く。

 まず、携帯電話機で専用サイトにアクセスし、ポートと車両の種類を選択する。返却ポートも指定する。即座に計算システムがGPSを搭載したポート送迎コミューターの運行計画を決定するので、ユーザーは指定された地点に移動し、ポート送迎コミューターに乗車、ポートに到着する。

 その後、ポートに備わったカード読み取り機に非接触式の会員カードをかざすことで、キーボックスのドアを開け、キーを取り出す(図4)。電動バイクの場合にはヘルメットが格納されたロッカーのドアも開く。

 サービスを利用後は、会員カードを使ってカギを返却する。EVや電動バイクでは充電コネクタを接続しないとサービスを終えることができない。ヘルメットが返却されたかどうかも赤外線センサーで確認できるという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る