ゼロから分かるREACH規制のウラ側:いまさら聞けないモノづくりの基本ルール(1/3 ページ)
モノづくりはクリエイティブな仕事である半面、法規制もよく理解しなくてはなりません。ゼロからREACH規制が生まれた背景を解説します。
本稿は、REACH(Regulation (EC) No 1907/2006 on the Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)について、ゼロから理解できるようにできるだけ簡潔な説明を試みます。
周知のように、REACHは欧州議会および欧州理事会により2006年12月18日に採択され、翌年6月1日に施行された、多くの新しい特徴を持つ化学物質規制です。
REACHの特徴
「なぜREACHが制定されたのか」をよりよく理解していただくために、まずREACH以前の欧州の化学物質規制と比較しつつ、REACHの特徴を説明します。前者の特徴は次の通りです。
REACH以前の欧州の化学物質規制
対象となる化学物質 原則として、1981年9月18日以後に上市された化学物質(以下「新規化学物質」といいます)だけを規制し、同日までに上市された化学物質(以下「既存化学物質」といいます)を規制しません。
リスク評価の責任者 各国政府に化学物質のリスクを評価する責任を負わせます。
データ収集・共有システム 化学物質が環境に及ぼす影響に関するデータを収集・共有するシステムがありません。
これに対し、REACHは次の特徴を有します。
REACHの特徴
対象となる化学物質 原則として、新規化学物質だけでなく既存化学物質も規制しています。
リスク評価の責任者 事業者に化学物質のリスクを評価する責任を負わせています。
データ収集・共有システム 製造者、販売者など製品のサプライチェーンに参加する全ての者に対し、化学物質の使用および危険に関するデータを収集・共有する義務を負わせています。
これらのREACHの特徴は、なぜREACHが制定されたのかを知る手掛かりとなります。
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