レンダリングでカッコいいイスに仕上げよう!:Macで楽しくて本格的な3Dモデリングしよう(2)(4/4 ページ)
今回はもう少し詳しくMorphogenesisの機能を探求しながら、レンダリングにも挑戦してみた。
フォトリアルなレンダリングでイメージを作成する
さて、モデリングだけなら、これで完成だ。しかしsolidThinkingには、いいレンダリング機能が組み込まれている。だったら、それを使わない手はない。ちなみに、本体に組み込まれているものだけではなくて、外部のレンダラーも使うことができる。
昨今は、3次元モデルも「データを作る」ことだけにフォーカスするのではなくて「使い回す」ことに視点が移ってきている。そもそも3次元モデルは、データを作ることが目的なのではなくて、製品を作ることが目的だ。そして、その製品を宣伝することもモノづくりのうちだ。
その典型的な例が、出来上がった3次元の設計データから、きれいなCGイメージを実写の写真の代わりに使うこと。しかも、最近はそれが当たり前になってきている。……というところで、実物の製品はないが、せめてグラフィックできれいなモデルを作ってみようと思う。
普段からレンダリングなどをやり慣れていれば、恐らくは、それほど特別な作業ではないと思う。特に何もセットアップをしないで、レンダリングをするのは、もちろん可能だが、それでは真っ黒な背景に真っ白な形状が出てくるだけ。なので、まずはこの椅子の材料を設定してみたい。
デフォルトでもいろいろなテクスチャが用意されている。筆者としては何となく木目調のものがいいな、と思ったのだが、もちろんメタリックにもできるし、ポップな模様のものだってありだ。
そういうわけで、いろいろと試してみた。
椅子の方は何とかなったが、このままではまだ背景が殺風景である。そこで、次に背景を設定してみた。レンダリングのマネジャーを立ち上げて背景を設定する。背景は、Backgroundの中にある背景の中から選択する。往々にして、デフォルトで用意されているものは、自分の欲しいシーンにはマッチしていないものだが、それは仕方がない。本格的に試みる場合には、自分でしっかりとしたシーンを用意しよう。
これだけでも見栄えのよい画像は十分作成可能だ。大体こんな感じになる(図10)。
おっと、何か忘れていたと思ったら、影がなかった……。影の作成には、もうワンステップ必要だった。
まず、物体の下に平らな面を作成する必要がある。これに影を投影するのだ。面を作成したら、この面を選択した状態で、レンダリングのマネジャーの「lighting」から、「shadow catcher」(影を受ける部分)としての設定をすればOKだ。これで影ができて、より「らしく」なった。
ちなみに、フォトリアルなレンダリングを行う際に出てくる悩みとして、そのシーンが気に入らなかったときにキャプチャーし直さなければならないということがある。
モデリングの画面で向きを変えて再度キャプチャーしても、思った通りになるかどうかはよく分からない。そう思っていたとき、1つ気になるボタンを見つけた。それが、「Real Time + Photorealistic」というものだ。いわゆる、「リアルタイムで、モデルをぶん回して、実物が現実の中を駆け抜ける!」……というものを想像するなら、残念ながら、それは違う(さすがに、一番ベーシックなMac Bookにそこまで期待するのはかわいそうだ……)。
画面上で、オブジェクトを回転させたり移動させたりできて、その場で新しい画像を作り直してくれるという機能だ。
下記の動画を見ていただくと分かるが、影の映り込みもきちんと反映されているし、途中で材料を変えてもOK。かなりインタラクティブに使える。実はこの機能のおかけで、今回の記事においても画像作成の手間がだいぶ減った。
次回はiPhoneの台
いよいよ次回は、iPhoneの台を作成する。筆者の別の記事においてもiPhoneがらみのものは、数々作成している。実は、記事に書かなかっただけで、RPで出力したものの、そのままお蔵入りになっているケースが積まれているのだが、今回は、solidThinkingならでは!? のスタイリッシュなものを作ってみたいと思う。
もちろんインスピレーション喚起のために、Morphogenesisをフルに活用してみようと思う。
ところで、今回も使い方を教えてもらうのにアルテアエンジニアリング社の技術サポートの方にはお世話になった。すらすらとやっているように見えるかもしれないが、実はかなり試行錯誤だった。「何でこうなるの?(笑)」という状況にも陥り、混乱したときには丁寧に質問に答えていただいた。
拙著『絵ときでわかる3次元CADの本』』(日刊工業新聞社)の中にも書いたのだが、CADを使いこなす上で疑問を解消できる環境があるかどうかは重要だ。デザインや設計以前の話として、コマンドの意味や、ある成果を出すために、どのコマンドを使わなくてはいけないのか、結局それが分からなければ始まらない。あらためて、必要なときに支援が受けられるソフトが、結局、使いやすくなることもあらためて認識した。(次回に続く)
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