リッチな店舗体験を実現する3つのキーデバイス:POSReady 7 CTP版、Handheld 6.5に関する発表も
日本マイクロソフトは「スマーター・リテイリング・フォーラム 2011」で、「Windows Embeddedで実現するクラウド時代のリッチな店舗体験」と題し講演を行った
日本マイクロソフトは2011年3月9日、現在開催中の「リテールテック JAPAN 2011」(会期:2011年3月8から11日)と併設開催された「スマーター・リテイリング・フォーラム 2011」の中で、「Windows Embeddedで実現するクラウド時代のリッチな店舗体験」と題し、小売業・サービス業向け端末に関する講演を行った。
なお、講演の中では同日発表されたPOS端末向けの最新OS「Windows Embedded POSReady 7」のCTP(Community Technology Preview)版、およびハンドヘルド端末向け最新OS「Windows Embedded Handheld 6.5」についての説明も行われた。
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小売業・サービス業におけるWindows Embedded搭載キーデバイス
講演を行った米マイクロソフト コーポレーション Windows Embedded Business プロダクト マネジメント ディレクターのムカンド ガンガーディ(Mukund Ghangurde)氏は、はじめにマイクロソフトが組み込み機器向けに提供しているOS製品群「Windows Embeddedファミリ」のミッションについて、「Windowsの価値およびクラウドと接続された専用端末の可能性を拡張し続けること」と説明。そして、小売業・サービス業において、Windows Embedded製品がもたらす“リッチな店舗体験”を提供するキーデバイスとして、
- デジタルサイネージ
- POS端末
- ハンドヘルド端末
の3つを挙げた。
こうした機器に対し、マイクロソフトはWindows Embedded製品を展開。具体的には、デジタルサイネージにWindows Embedded Standard 7を、POS端末にWindows Embedded POSReady 7を、ハンドヘルド端末にWindows Embedded Handheld 6.5を採用することで、「Windowsの強み(マイクロソフトのサーバ製品やソフトウェアとの連携など)と使いやすさを最大限発揮し、より早く設計・開発でき、製品に組み込んで出荷できる」とGhangurde氏。
デジタルサイネージ:3社(MS、インテル、NEC)協業による取り組み
Windows Embedded Standard 7を搭載したデジタルサイネージであれば、WPF(Windows Presentation Foundation)やタッチ&ジェスチャによりリッチなUIを実現でき、インタラクティブに商品やサービスを訴求できる。また、全国にチェーン展開するような店舗では、これまでサイネージ内のコンテンツを更新する手間とコストが発生していたが、これらがネットワークにつながることで、本社から一斉にコンテンツを更新するといった運用が可能になる。
「デジタルサイネージは単に情報をアウトプットするだけではなく、利用者の属性(性別や身長など)やプロモーション効果などを測定・追跡し、今後のプロモーション内容をより効果的なものに変更するための判断材料(インプット)としての役割を担う」(Ghangurde氏)という。
ただし、現実には単に情報を垂れ流すような利用がなされているデジタルサイネージもまだ多い。デジタルサイネージの効果的な利用/使われ方については議論の余地があり、未開拓な部分が多いといえる。こうした課題について同社は、インテル、NECと協業し、3社共同でデジタルサイネージの標準化や効果的な利用についての啓蒙、コンセプトモデルの開発などに取り組んでいる。
インテルは現在、表現力豊かなグラフィックス表示(アウトプット)と、顧客属性の判断・収集(インプット)の双方を実現するために必要な性能を提供すべく、Core i5/i7プロセッサを主にハイエンドのデジタルサイネージ向けに提供している。また、その一方で、デジタルサイネージの標準仕様「Open Pluggable Specification(以下、OPS)」を策定・発表するなど小売業・サービス業分野での具体的な活動を進めている。
そして、ハードウェアプロダクトの開発を担うNECは、Windows Embedded Standard 7およびCore i5/i7プロセッサを搭載したOPS準拠のデジタルサイネージ専用コントローラモジュールと、同規格に対応したディスプレイを開発。これにより、これまでデジタルサイネージ機能と効果測定機能を別々の装置で実現していたものが1つのコントローラモジュールで実現可能になるという。販売開始は2011年春を予定。リテールテック JAPAN 2011のNECブース内では、コントローラモジュールと専用ディスプレイの試作機が参考展示されていた。
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POS端末:CTP版の提供開始、Windows Embedded POSReady 7
現在、小売業・サービス業において、POS端末は単なる精算処理のツールとしてではなく、顧客満足度、ロイヤルティ、スタッフの生産性を向上させるためのツールとして期待されている。
今回CTP版の提供が発表されたWindows Embedded POSReady 7は、Windows 7テクノロジをベースに、小売業・サービス業におけるPOSソリューションを周辺機器、サーバ、サービス、クラウドにシームレスに接続できるよう設計されたOSで、新機能が多数搭載されている。例えば、直観的でシンプルな操作を実現するタッチ&ジェスチャへの対応、Webやマルチメディア機能を提供する「Internet Explorer 8」「Windows Media Player 12」、さらに「AppLocker」「BitLocker」「BitLocker To Go」「Encrypting File System(EFS)」といった業務端末に必須のセキュリティ機能の強化もなされている。
すでに「OEMとして東芝、富士通、シャープ、NECが、ISVとしてヴィンキュラム ジャパン、ソリマチ技研が日本におけるWindows Embedded POSReady 7 CTPのサポートを表明している」(Ghangurde氏)という。
ハンドヘルド端末:Windows Embedded Handheld 6.5
また今回、小売業・サービス業などの従業員が使用するハンドヘルド端末向けにWindows Embedded Handheld 6.5の提供が発表された。同製品は「アプリケーション互換性」「機器のセキュリティと管理」「柔軟性」「ライフサイクルサポート」などを備えたエンタープライズ向けハンドヘルド端末OSで、Windows Mobile 6.5がベースとなっている。SKUは「Professional」「Classic」の2つで、違いはProfessionalのみが携帯電話網に接続できるという点だ。
「顧客からの問い合わせに対し、その場で在庫確認や配送手配ができたり、在庫調整が行えたりする。接客からバックヤード業務までをカバーできる」(Ghangurde氏)。
講演の中で、Windows Embedded Handheld 6.5の採用事例として、カシオ計算機の「IT-300」が紹介された。同製品は、レーザースキャナ、耐環境性能、各種ネットワーク接続機能を搭載するほか、チャット、SNS、勤怠管理、コンテンツ作成・配信・閲覧などさまざまなアプリケーションが利用できる。また、Webブラウザを標準搭載し、タッチ操作やAdobe Flash Liteの再生も可能だ。
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