迫られるデータセンター効率化、有効な手立ては――環境メディアセミナーリポート:スマートグリッド(1/2 ページ)
1月28日、東京・秋葉原のアキバプラザにおいて環境メディアが主催する、データセンターの省エネルギーをメインテーマに「第2回 環境メディアセミナー」を開催した。本記事では基調講演・特別講演他セミナーの内容をお伝えする。
1月28日、都内で、第2回 環境メディアセミナーが開催された。テーマは「環境対策とコスト増のジレンマを解決する『最新省エネルギーデータセンター』とは」ということで、データセンターにまつわる環境対策についての講演・セッションが行われた。100人ほどの会場は満席でスタートした。
基調講演:改正環境確保条例下でのデータセンターの指針
基調講演を行ったのは、東京都都庁環境局の荒田有紀氏(排出量取引担当課長)である。東京都は、環境対策の一環として、都内の企業、施設に対してCO2削減の努力を求めている。講演タイトルは「改正環境確保条例施行の中でデータセンター事業者が取り組むべき地球温暖化対策とは?」で、これまでの歩みと現状について説明した。
まずこれまでの東京都の「気候変動対策」をまとめたあと、東京都の基本姿勢を示した。東京都は「エネルギーの大消費地としての責務」および「炭素制約時代での東京都の成長を可能に」するために気候変動対策を行っている。具体的な活動のうち、データセンターに関連すると思われるのは「大規模事業所への総量削減義務」である。
ただ、データセンターの場合テナントとして複数企業が利用しているため、データセンター運営会社だけの努力では削減が困難なこともあり、テナントに対してオーナーの対策への協力を義務付けている(削減を行うのは施設のオーナーの義務)。このためのテナント向けのパンフレットなども用意しているという。また、チェックリストやセミナー、診断(省エネカルテ)、事例集といったツール類も用意している。
最後に、最近の動きとして、今年より開始される東京都の排出量取引制度や、グリーンビルディング、埼玉県や神奈川県などと連携しての首都圏キャップ&トレード制度に向けた取り組みなどを紹介して、講演を終えた。
データセンターの空調省エネ化
最初のセッションは、日東工業の柴田司氏(IT営業部第三グループ営業課長)で、同社が行っている、データセンターなどの内部の温度状態や空気の流れなどを可視化するサービスと、その対策についての講演を行った。温度状態を可視化し、空調からの空気の流れを変えるさまざまな対策部品を使うことで、空調設備を増強せずに、データセンター内の機器の温度を下げることに成功したという。
可視化により、データセンター内の温度にムラがあることが分かり、その原因を調べることで、対策が可能となる。まず機器設置ラック内部の冷気と排熱を最適化し、機器の吸気側・排気側の向きをそろえ、そこに同社がNTTファシリティーズと共同開発した「アイルキャッピング」を適用することで、冷たい場所(コールドアイル)と温度の高くなるホットアイルに分離した効率的な冷却が可能になる。年間消費電力が652万キロワット時のデータセンターで、電力料金で約770万円、CO2排出を約300トン削減するとの試算が示された。
EV・PHV普及における充電システムネットワーク化について
2つ目のセッションでは、日東工業の船橋達治氏(開発本部商品企画部新規事業グループ)が登場。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の充電ステーションとそのネットワーク化について概要を説明した。
各国のEV・PHV導入をめぐる動きと充電ステーションの構造やタイプなどについて示した後、国内のPHVの充電ステーションの規格や状況について解説した。EV・PHVの普及を図るには充電ステーションを増やすことは必須だが、それだけでなく充電ステーションをネットワーク化し、ユーザーに対して近くで空いている充電ステーションを教えたり、充電完了を知らせるような、柔軟で便利なサービスを提供することが求められるという。さらにネットワーク化により可能となる、省コスト、省エネの可能性、そしてスマートグリッドへの展開についても触れた。
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