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充実一途のEV技術、「リーフ」関連の展示も多数CEATEC JAPAN 2010(2/2 ページ)

2010年10月5日〜9日、『CATEC JAPAN 2010』が幕張メッセで開催された。カーエレクトロニクス関連で最も注目を集めたのは、同展示会に5年連続で出展している日産自動車のEV「リーフ」関連の展示であろう。また、リーフに限らず、非接触給電システムをはじめとするEV向け技術の展示が目立った。

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SiCデバイスをEVに活用

 ここからは、電子部品メーカーによる展示のうち、電動システム関連のものを中心として紹介する。

 


写真7HEV用のDC-DCコンバータ
写真7 HEV用のDC-DCコンバータ サイズは375mm×250mm×64mm、重量は5kgである。
写真8SiCデバイスを用いたモーター制御回路
写真8 SiCデバイスを用いたモーター制御回路 Siパワーモジュールよりも大幅に小型化したSiCパワーモジュールを開発したことで、モーターの内部に制御回路を組み込むことが可能になった。
写真9「DE6シリーズ」
写真9 「DE6シリーズ」 村田製作所は「フィルムコンデンサよりも小さいDE6シリーズを用いることにより、車載充電器を小型化できる」と説明している。

 TDKは、ハイブリッド車(HEV)用のDC-DCコンバータを展示した(写真7)。高出力が要求される欧米市場向けに、従来品と比べて出力が約1.5倍となる3kWまで高められている。また、高温になるエンジンルーム内に取り付けることを前提に開発されたため、冷却方式は水冷となっている。ほかにも、エンジンルーム内で発生する振動に対応するための対策も施されている。

 ロームは、SiC(シリコンカーバイド)デバイスを用いたパワーモジュールで構成する制御回路を内蔵したモーターを展示した。モーターの出力は30kWで、EVの走行用に用いることを想定している。モーターの制御回路は、SiC-MOSFETを6チップ搭載するモジュールを4個、SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)を18チップ搭載するモジュールを2個、SiC-MOSFETを駆動することができる同社製のゲートドライバICを3個搭載したドライバ回路から成る(写真8)。それぞれ、同じ仕様のシリコン(Si)デバイスを用いたパワーモジュールと比べて、体積を1/2にまで低減できている。

 村田製作所は、EVの車載充電器に利用できるYコンデンサ「DE6シリーズ」を展示した(写真9)。Yコンデンサは、AC-DC変換を行うスイッチング電源回路において、ノイズを除去する用途に用いられる電子部品である。DE6シリーズは、車載充電器をはじめとする車載向けで利用できるようにするために、使用温度範囲を広げた。民生用機器向けの従来品が−10〜85℃であるのに対して、DE6シリーズは−55〜125℃に拡大している。


写真10高温動作タイプの「DLCAP」
写真10 高温動作タイプの「DLCAP」 最高使用温度が70℃の製品は、すでにサンプル出荷を開始している。

 日本ケミコンは、電気2重層キャパシタ「DLCAP」の高温動作タイプ品を展示した(写真10)。最高使用温度が70℃と85℃、2種類の製品がある。形状は円筒型で、サイズは直径40mm×長さ150mm。2種類それぞれに、定格電圧が2.3V、容量が800Fのものと、定格電圧が2.5V、容量が1400Fのものを用意している。なお、既存のDLCAPの最高使用温度は60℃だった。


写真11アルバックの新型急速充電器
写真11 アルバックの新型急速充電器 サイズは、高さ1850mm×幅720mm×奥行き800mm。
写真12「ML610Q169」を用いたデモ
写真12 「ML610Q169」を用いたデモ 左下にあるのがML610Q169を用いた車両接近通報装置の制御回路。この制御回路を右下のパワーアンプに接続し、上側のスピーカで車両の接近を知らせる音声を発生させている。
写真13HSDに準拠するコネクタ製品群
写真13 HSDに準拠するコネクタ製品群 

 アルバックは、2011年春に発売するEV用急速充電器の新モデルを公開した(写真11)。新モデルの特徴は、従来モデルにはなかった通信機能を搭載したことと、低コスト化を達成したことである。通信機能は、日本ユニシスのEV用充電器向け通信モジュールを搭載することで実現した。価格は、従来モデルの約200万円に対して、新モデルでは140万円〜150万円まで低減した。

 OKIセミコンダクタは、車両接近通報装置向けの音声処理マイコン「ML610Q169」を展示した(写真12)。車両接近通報装置とは、EVやHEVがモーターだけで走行する際に、周辺の歩行者が車両の接近に気付かないことがないよう、自動的に音を発生する機能を持つ装置である。ML610Q169は、車両接近通報装置に必要となる音声合成の処理機能などを1チップに統合したもの。同社は、「本製品を使用することにより、従来は外付けする必要のあった音声処理用のDSPが不要になる」としている。

 タイコ エレクトロニクス ジャパンは、高速の通信を行う車載システム向けの規格であるHSD(High Speed Data)に準拠するコネクタ製品を展示した(写真13)。HSDの規格策定は、欧州を中心として進められている。同社は、日本市場向けに、USBインターフェースと接続するためのアダプタを追加した。

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