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パーツカタログ担当者が始めた顧客視点のPLMちょい先未来案内人に聞く!(3)(5/5 ページ)

洋の東西、老若男女を問わず、モノづくり現場の最前線から、その先を見つめる専門家に焦点を当て、明日のモノづくり環境のビジョンを紹介する。

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まとめ

 やまびこで起きた業務プロセス改革は、パーツカタログの抱える問題から端を発している。アフターマーケットの重要性に対する認知度が低く、付け合わせの野菜のような扱いしかしてこなかったため、パーツカタログの改善は大幅に遅れていた。しかし、ビジネス環境の変化により、多品種・少量生産の流れに対応するためには、アフターマーケットを含めたビジネスプロセス全体の改善が必要となる。田中氏は、パーツカタログというドキュメントから、やまびこが抱える問題を分析し、根本的な解決に導くイノベーションを実現したのである。

 「部門を超えて、全社的な改善プロジェクトを推進することは容易ではありません。プロジェクトを成功に導くためには、部門を超えた協力者と、経営陣の理解が必要です。また、プロジェクトを100%成功させたいというのは、担当者のこだわりですが、合格点を80%くらいに設定し、どんどん推進していくことの方が大事だと考えています」(田中氏)。

 このようにやまびこでは、徐々にではあるが、確実に3次元デジタルドキュメントによる業務プロセス改革が起きている。新たな取り組みとして、この仕組みを活用した在宅勤務もスタートしている。在宅勤務第1号となったのは、事故により車椅子での生活を送ることとなった社員である。体調に合わせて仕事が可能で、通勤による負担も軽減できるという。

 「改善は、ただの通過点にすぎません。その改善プロジェクトは、何のためにあるのかが重要なのです。かかわる人々が生まれた境遇に関係なく、同じ<夢>を目指すために、改善は行われるべきだと、私は確信しています」(田中氏)。

今回のちょい先未来案内人

やまびこ 開発本部 技術管理部 製品取説課 主任 田中 剛氏

 1996年、鳥取大学農学部農林総合科学科卒業。大学休学時に自転車旅行で訪れた東南アジアへの興味が高じて卒業後に2年間のタイ語学留学を敢行。1998年2月共立(現・やまびこ)に入社。営業部門、サービス部門をへて、2006年12月より現職。注目されない業務にこそ「ムダ」が多いことに着目し、軽量3次元フォーマットを活用した業務施策の探究や、パーツカタログのWeb化を推進している。

 この活動から書籍『3D デジタルドキュメント革命』(2009年、JIPMソリューション刊、鳥谷 浩志氏との共著)を出版。今回取材した田中氏の業務改革の詳細な経緯や背景が記されている。



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